【毎日書評】上司が気をつけたい部下との「距離感のバグ」と注意することば
注意する1
× 遠回しに注意する 〇 ストレートに注意する (56ページより) 若手に注意をしなければならないとき、「遠回しにさりげなく」と意識する方も少なくないかもしれません。「口うるさくいったら嫌われるかもしれない」「注意したあと気まずくなるかもしれない」といった思いがそうさせるのでしょうが、それは不正解だと著者は断言しています。 たしかに、「なにかについて叱られてるんだろうけど、なにをいいたいのかわからない…」と感じることは、注意される側にとっては大きな苦痛。まわりくどく、まどろこしい話をされると、それがわずか5分間のことであったとしても、うんざりしてしまうわけです。つまり、「嫌われたくないから」と時間をかければかけるほど、「ネチネチした人」というような悪印象になってしまうかもしれないということ。 むしろ若手に注意するときは、論理立ててズバッと伝えるのが正解だそう。 「最近あいさつの声が小さいかな。人間関係の基本だからしっかりやろうね」 「経費清算が遅れると、部全体に迷惑がかかるんだよね。次回から気をつけて」 「服装、もう少しちゃんとしようか。めんどうだろうけど、規定だからさ」 (58~59ページより) たとえばこのようにはっきり伝えたほうが、むしろ「気持ちのいい人」と交換を持たれますし、「これは本気だ、気をつけないと」と相手の背筋も伸びるわけです。 ちなみに、注意したすぐあとに「ま、ついやっちゃうよね(笑)」とフォローすることも避けたほうがいいようです。傷つけないためのフォローのことばを伝えるべきは、注意そのものを終え、いったん会話が一区切りしたことを確認したあとのタイミング。解決策を一緒に考えるような態度で、「なにか理由があるの?」「わからないことはある?」などと尋ねてフォローすべきだということです。(56ページより)
注意する2
× 「なんで?」と感情的に問いただす 〇 「どうする?」と冷静に質問する (64ページより) 若手が失敗やミスをしたとき、「なんでこんなことに」と問い詰めたり、声を荒げたりするなど感情的になる人がいます。しかし、そもそもそれは年齢や立場などに関係なく不正解。とくに年長者がやると、より不適切だということになるでしょう。 「こっちだって動揺しているんだから、どうしても強いことばになってしまうんだ」ということかもしれません。しかし若手には、キレているかのように聞こえてしまう可能性もあるのです。 大切なのは、普段から「注意できるような空気」をつくっておくこと。「ある程度怖がらせていうことを聞かせる」という人もいるでしょうが、それでは怖がらせてしまうだけ。若手からすれば、大きなストレスなのです。 まず、若手に対しては「一緒になって改善策を考える」ことが年長者のつとめ。もし、それでも冷静になれない場合は、「Why」ではなく「How」で尋ねるのが正解だそうです。 「どうした? 何か事情でもあった?」 「参ったな。どこがネックだったんだろうね」 「このままだと同じことが起きるよね。どうする?」 (67ページより) このように問いかければ怖さは減り、相手の自主性を重んじているというニュアンスも出るはず。感情的になるよりも、この点を意識しておいたほうがよさそうです。(64ページより) ひとたび「若者との正しい話し方」を身につけ、「つかず離れずのちょうどいい距離感」をつかんでしまえば、どんな相手に対しても応用が効くはず。トラブルを避け、どんな人とでも良好な関係を築けるようになるため、本書を参考にしてみてはいかがでしょうか? >>Kindle Unlimitedの3カ月無料キャンペーン【7/17まで】 「毎日書評」をもっと読む>> 「毎日書評」をVoicyで聞く>> Source: ディスカヴァー・トゥエンティワン
印南敦史