死亡率が5.6倍も上昇!? 知っておかないと怖い、「睡眠不足」が招く心と体への影響
私たちの日常はストレスを感じることばかり。家、職場、など場所を問わず、いつでもストレスにさらされています。けれど、ストレスを本当に『ゼロ』にしてしまうと、成長する機会を逃してしまうことも。 そこで今回は、精神科医・樺沢紫苑さんの著書『ストレスフリー超大全』から、誰しもが悪いストレスを感じやすいテーマを深掘りし、「科学的なファクト」と「今すぐできるToDo」をご紹介します。 ファクトをつかみ、ToDoを知れば、悩みの9割は解決するとのこと。あとは行動するのみ! ウソみたいだけど、本当に眠くなる「疲れない眠り方」5選 「国民健康・栄養調査」(平成30年)によると、睡眠時間が6時間未満の人の割合は男性36.1%・女性39.6%。年代別では、30代男性と50代女性がそれぞれ50.0%、54.1%と最も眠れていませんでした。健康的な睡眠時間といえる7時間以上の睡眠は、男性は29.5%、女性は25.7%にとどまりました。働き盛りの年代の2~3人に1人は、睡眠不足なのです。
【ファクト①】睡眠不足のデメリット
睡眠不足が健康に悪いというのは知っていても、本当の睡眠不足の恐ろしさを多くの人は知りません。睡眠不足のデメリットは、大きくまとめると3つあります。 (1)病気になる(寿命が縮む) 睡眠不足による病気のリスクを、たくさんの研究が示しています。睡眠6時間以下の人は、そうでない人と比べて、がんが6倍、脳卒中が4倍、心筋梗塞が3倍、高血圧が2倍、糖尿病が3倍、風邪が5倍のリスクです。死亡率が5.6倍も上がるという研究もあります。 健康に悪い生活習慣は「喫煙」が一般常識ですが、「喫煙よりも睡眠不足のほうが健康に悪い」と主張する研究者も多くいます。 若い頃は大丈夫と思っていても、そのときの睡眠不足が、10~20年してから「生活習慣病」としてあらわれてきます。 (2)仕事のパフォーマンスが下がる 睡眠不足の人は気づいていませんが、睡眠を削ると脳のパフォーマンスは劇的に下がります。6時間睡眠を1日間続けると丸2日徹夜したのと同程度の認知機能になります。つまり、毎日6時間睡眠を続けている人は、「毎日徹夜明けで仕事をしている状態」で仕事をしているということです。 睡眠を削ると、集中力、注意力、判断力、実行機能、即時記憶、作業記憶、数量的能力、数学能力、論理的推論能力、気分、感情など、ほとんどすべての脳機能が低下することが明らかになっています。睡眠不足の人は、本来持つ能力の3~5割減くらいの能力で、毎日仕事をしているのです。 健康に良いことはだいたい嫌われるものだが、人が唯一好むものがある。それは、心地よい夜の眠りだ。 ― エドガー・ワトソン・ハウ(アメリカの小説家) (3)太りやすくなる 「睡眠を削ると太る」というリスクもあります。ダイエットを失敗する人が多いのは、睡眠不足の状態でダイエットをしているからです。 睡眠時間と肥満についての研究では、睡眠時間5~6時間で1.2倍、4~5時間で1.5倍、4時間以下では1.7倍も太りやすくなるそうです。 「睡眠不足の人は、1日385キロカロリー余計に摂取している」というデータもあります。睡眠不足の人は、猛烈に食欲がアップします。 睡眠不足によって、食欲増進ホルモンのグレリンの分泌が増え、食欲抑制ホルモンのレプチンが減り、ショ糖、脂肪、ジャンクフードの摂取欲求が増えます。食欲が増え、甘い物や油っぽいものを食べたくなるのです。 睡眠不足になると、体は「危険性」を感じて、必死でエネルギーを蓄えようとするのです。痩せたければ、「ダイエット」の前に「睡眠」です。