《都道府県別!幸せ度ランキング》電気代、家事時間、うつ病患者数、あなたの地域は何位?
「女性の家事時間が短いのは?」
家事の分担を徹底し、男女平等! 15歳以上の女性の1週間の総平均家事労働を短い順に並べると、東北地方が上位にズラリ。 「福島県、山形県、岩手県というのは、共働きが多い県なので、分担をして、女性の家事労働時間が少なくなっていると思います。というのも、東京など都市部の共働きとは異なり、東北地方では夫婦で農業に従事する働き方が多い。比較的時間が自由に使える分、隙間時間で効率よく家事を行っているという面が想像できます」(岩中さん) 逆に家事労働時間が最も長いのは172.5分の奈良県。 「奈良は前述したとおり、あくせくしない、優雅な県民性があるので、家事もマイペースにゆったりと時間をかけて行っている可能性はありますね(笑)」(岩中さん) 家事労働時間の内容の濃淡はいずれにせよ、都市部ほど睡眠時間が短いという相関データもあると久保さんは指摘。 「睡眠時間を削って家事をしている女性が多い可能性も考えられ心配です」(久保さん) 「休養・くつろぎ時間が多いのは?」 癒しの時間を大事にして心も元気! コロナ禍を機に、全国的に家族だんらんの時間は増えている傾向に。 「通勤時間が短い地域のほうがくつろぎの時間が多いという相関データもあるので、通勤時間がくつろぎの時間の長さに大きく作用していると考えられます」(久保さん) では、ブレイクタイムに何をしているのか。例えばテレビ、ラジオ、新聞、雑誌に触れる時間は北海道が最も長い。 逆に、自宅でのんびり過ごすことをせず、友人や知人と会う時間を優先しているのは沖縄県。くつろぎの時間は下位だが、交際・付き合いに費やす時間は全国トップクラス。家にこもるより、外で楽しく飲むことが沖縄県民にとっては休養になるのかも。
「平均寿命が長いのはどこ?」
幸福感を得るほど長生きする!? 男女共に平均寿命の長さの上位にランクインし、最も長寿県といえるのは滋賀県(男性1位、女性2位)。医学的なエビデンスがあるわけではないが、と前置きしつつ、岩中さんは滋賀県の地理的な要素が長寿に影響しているのではないかと分析する。 「穏やかで雄大な琵琶湖が身近にありますから、自然と心が落ち着いて、心身共に健康が保てるのではないかと。また、近年は経済的にも発展している県なので、自分の健康に投資できる素地が整ってきた。その両面が平均寿命を押し上げていると感じます」 「幸せな人は長生きする」といった研究結果はさまざまな国で報告されており、心の安定が長寿につながるのか。また、女性の1位である岡山県は、いい意味で“自分ラブ”なところが健康面にプラスに働いているとも。 「岡山県や長野県というのは、江戸時代から寺子屋の数が多く、勉強に熱心な人が多い。特に岡山県民はそれを誇りに思っており、自分の意見に絶対の自信を持つ人が多いのです。だから、自分が健康のためによいと思ったことは、とことん継続でき、長寿に結び付いているのでしょう」(岩中さん) 「うつ病患者数が少ないのは?」 ストレス少なく心晴ればれ! 65歳以上の1万人あたりのうつ病患者数を比較すると、最もメンタルヘルスが良好といえるのは徳島県。今や全国区となった阿波踊りが、ストレス発散に大いに役立っているのかも。 2位は奈良県。岩中さんが前述したとおり、あくせくしない県民性はここでも効果を発揮しているようだ。また、トップ10までみると3位の栃木県を筆頭に、6位に茨城県、8位に群馬県と北関東勢がそろってランクインしているのも興味深い。 一方、ワースト3は福岡県、千葉県、鳥取県。とりわけ福岡県は、全年齢においても最下位という結果に。 「分布地図を作成すると、首都圏や九州北部、北日本の日本海側に高齢者のうつ病患者が多いことがわかります。日本海側に多いのは、雪や気温と関連があるのではないか、という意見もありますが、今のところデータ的には相関関係があるとはいえません」(久保さん) 何をストレスと感じるかは人それぞれだが、ここまでのデータを参考に、自分の住む地域の“幸せの種”を見つけてみよう。 教えてくれたのは…… 岩中祥史さん●出版プロデューサー、ノンフィクション作家。編集企画会社エディットハウス代表取締役を務める。県民性にも精通し、『新・出身県でわかる人の性格』(草思社)など関連著書多数。 久保哲朗さん●統計ジャーナリスト。都道府県別統計を比較したサイト「都道府県別統計とランキングで見る県民性[とどラン]」の管理人でもある。著書に『47都道府県の偏差値』(小学館)など。 取材・文/河端直子