予選は中止になったけど……面白いぞウエットタイヤ開発戦線! 4社それぞれからポジティブなコメント|スーパーGT第6戦
“ちょい濡れ重視”だったはずでは……? ヨコハマはウォームアップ性能向上でGT500勢が好タイム
今回の公式練習である種のサプライズと言えたのが、ヨコハマのGT500勢が上位のタイムを記録したことだ。 というのも、ヨコハマは近年のコンセプトとして、雨量の少ない“ちょい濡れ路面”にフォーカスしたウエットタイヤ開発を進めてきた。これは雨量の多いシチュエーションでは赤旗中断やセッション中止となることが多いことも関係している。トレッドパターンもかつてのF1の溝付きドライタイヤを想起させるような、数本の縦溝と細かい横溝だけが入ったデザインだ。 実際、ヨコハマはこのパターンの投入以降、雨量の少ないダンプ路面ではパフォーマンスを発揮し、フルウエットでは苦戦する傾向であった。しかしながら今回は雨量の少ない場面がほとんどなかったにもかかわらず、GT500で19号車WedsSport ADVAN GR Supraが3番手。24号車リアライズコーポレーション ADVAN Zも7番手に入った。 これについて開発責任者である白石貴之氏は、ウォームアップ性能の向上が一因だとして、こう解説した。 「水量が多いところではパターン的にどうしても苦しいところもありますが、発動性を良くすることでそこに対策する、ということに取り組んできました。その効果の確認ができたと思っています」 「排水性で厳しいところでも、ゴムがしっかり発動していれば、ハイドロプレーニングから脱したところですぐにグリップできる……つまりハイドロプレーニングの影響をゼロにはできないものの、ダメージを最小限にすることができます」 一方、15台供給の大所帯であるGT300クラスに関しては、30号車apr GR86 GTの10番手が最上位に終わるなど下位に固まったヨコハマ勢だが、これについて白石氏は「GT300の方は、ここまで(路面温度が)低いことを読んでいませんでした。300のチームさんはどちらかというとダンプ寄りのコンディションを狙っているところが多く、水量が多く温度が上がらない状況だと厳しかったのではないかと思います」と話した。 いずれにせよ、予選キャンセルに伴い公式練習の順位が決勝スタート順となるため、GT500のヨコハマ勢は好位置からスタートすることになる。決勝レースの天気は現状読めないところだが、白石氏は「今日と同じようなコンディションが続くようであれば、期待できるのではと思っています」と頬を緩ませており、決勝に向けて注目と言える。