高橋文哉&田中圭、『あの人が消えた』は“制約があるようでない”作品 「声のトーン一つでも選択肢が無数にありました」
■田中圭、予想外の現場の緊張感にタジタジ!?
田中:そもそものストーリーが二転三転どころではなく何転もしていて、それぞれのキャラクターが個性豊か。それでいていろいろな面を持っているので、丸子に相対する役を演じた方たちは「どう演じるか」と悩んだのではと思います。分かりやすく言うと、普段は今みたいなトーンで話しているけど、“実は悪い人だった”となったときに急に声を低くして言葉遣いも悪くなったり、声のトーン一つ取っても選択肢が無数にありました。 また、演じるうえで僕が悩んだのは、心のベースラインをどうするか。例えば日常生活においても、いいことがあったり体調がよかったりしたら気持ちが上がって、疲れがたまっていたら下がって…と、心の状態によって相手に与える印象は変わると思います。となると、演じるうえで「普段はこれくらい」という基準値を設定する必要がある。ですが、荒川においては端的にいえば“ボケの人”なのか“ツッコミの人”なのかによっても全く変わってきて、現場に入るまで「どうしようか」と迷っていました。 そして現場に入ったら、僕が台本を読んで感じていたコメディ感は無く、思っていた以上に緊張感のある空気感でした。 高橋:ちょうど圭さんが参加されたときは、“和気あいあい!”みたいな感じではなかったですね(笑)。 田中:そう(笑)。このテンションで臨んだらおかしなことになるぞと思い、現場を見て即行で変えました。低いテンションも違うし、じゃあどうしようかな、と探っていくなかで水野監督が導いてくださりあの形に落ち着きました。 (取材・文:SYO 写真:高野広美) 映画『あの人が消えた』は全国公開中。