今年の大谷翔平はなぜ”特大ホームラン”を連発できる…!? データから見えた本塁打性とは…?【コラム】
スイングスピード、軌道距離で見る大谷翔平の”パワー”
上記の本塁打に関するバットスピード(スイングの速度)やスイング軌道距離(スイングの大きさ)の数値は以下のようになる。これらのデータは検索可能なデータベース化がされていないため、MLB公式HPの記録映像の数値から引用した。5月5日の本塁打に関するデータは確認できなかった。 7月28日終了時点で、大谷選手の平均バットスピードは75.8mph(時速122.0㎞)、スイング軌道距離は7.7ft(2.3m)となっている。以上の本塁打ではバットスピード、スイング軌道距離とも本人の平均より大きく、スイング内容の飛距離への影響を示している。 一方、6月22日の本塁打は、打球角度の小ささが影響して、バットスピードの割に飛距離は上位2本ほどには伸びていない。
飛距離は今季最短だが…?
では、以下の打球の飛距離はどれくらいだろうか?スイングの速度や大きさは上位だが、角度が46°と大きい。7月25日のサンフランシスコ・ジャイアンツ戦でタイラー・ロジャース投手から打った本塁打だ。打球速度(初速)は時速181.2㎞、スイング速度は時速131.3㎞、スイング幅は2.5mである。 正解は360フィート(125 m)で、大谷選手の今季の本塁打では最短タイだ。スイングや打球速度は飛距離上位の本塁打に匹敵するのに、角度が変わっただけで飛距離が短くなる。 逆に言えば、一般に「上がりすぎ」の角度でも本塁打にできるスイング速度があったのだ。角度がもっと大きければいわゆる「通天閣打法」になったかもしれない。
ライバルとのホームラン性の違いとは
「どの球場でも本塁打になる大きな本塁打」とされるランキングをみると、大谷選手はアーロン・ジャッジ選手(ニューヨーク・ヤンキース)と並んでMLB1位だ。『Baseball Savant』では、MLBの全30球場で本塁打になる「No Doubters」の数値が記録され、ランキングされている。 現地時間7月28日終了時点で、大谷選手、ジャッジ選手の本数はともに21本となっている。この時点で、大谷選手の本塁打に対する「No Doubters」の割合は65.6%と、ジャッジ選手(56.8%)を上回っている。 以下、本塁打の飛距離の分布、飛距離と打球速度や打球角度との相関につき、ジャッジ選手との比較を行っていきたい。 両選手の本塁打のデータを正規分布の形にして比較すると、大谷選手の方がジャッジ選手より若干高い数値で分布している。7月28日終了時点で、ジャッジ選手の本塁打の平均飛距離は412.8ft(143.6m)となっており、大谷選手の方が5.5ft(2.0m)上回っている。