親子の会話は難しい…「言いかえ」を工夫して、高齢の親との会話をスムーズに進めるコツ
文/鈴木拓也 親子の会話は難しい……。 これは、親が高齢者、子どもがいい年の中高年になっても変わらないようだ。筆者も、帰省するたびに、老親との会話のギクシャクぶりに苦労している。こうした悩みを持つ子どもは少なくない。 しかし、子ども側が、ちょっとの配慮をすることで、驚くほどコミュニケーションは円滑になる。そう説くのは、訪問看護・リハビリのデイサービスを提供する株式会社ゴルディロックスの代表、萩原礼紀さんだ。 萩原さんは、著書『歳をとった親とうまく話せる言いかえノート』(ダイヤモンド社)のなかで、豊富な例をもとに、親との会話がうまく運ぶコツを記している。 今回は、本書からそうしたコツの一部を紹介しよう。
反発をおぼえるアドバイスは「受け流す」
親は、子どもに対し、昔の価値観・常識にしたがったアドバイスをしてくることがある。それが、現代の主流の考えとそぐわず、子どもとしてはカチンときやすい。それで思わず、「なにを言っているの。もう、そういう時代じゃないんだから」と返してしまう。 よかれと思ってしたアドバイスが否定された親は、イヤな気分になるだろう。それどころか、親子喧嘩の発端ともなりかねない。 では、どのような返答がいいのだろうか? 本書では、次のように解説されている。 <こんなときは「たしかに、昔はそうだったよね」と受け流すのがおすすめです。なぜなら「否定」や「肯定」などの感情が一切含まれていないニュートラルな返しであり、相手を不快な気持ちにさせないからです。(本書33pより)> さらに萩原さんは、親には自分の考えをまっすぐに伝える必要はないともいう。いさかいの種を蒔くよりは、受け流して無難に済ますのが吉と出るわけだ。
親に「助けてもらう」意識が大事
親の煮え切らない態度を見ると、思わず「どうしたいの? はっきりしてよ」と言ってしまいたくなる。 それまでの経緯がどうあれ、この言い方では会話の行き先は穏やかなものとはならない。 萩原さんは、どんなときも親の気持ちに寄り添うことが大事と諭す。この場合は例えば、「ごめん言いづらいよね。でもお父さんの考えを教えてもらえると助かるな」というふうに伝える。つまり、おせっかいな助ける側から「助けてもらう側」になる。萩原さんは、こう続ける。 <そうすると、親の意識は「子どもが困っているんだから、自分が助けてあげなきゃならない」に切り替わります。その結果、冷静な心持ちで、自分の考えを精一杯伝えてくれるはずです。落ち着いて話をしたいときに使いたい伝え方です。(本書41pより)> 「どうしたいの? はっきりしてよ」に限らず、「要求・指示・命令・依頼」のトーンの言葉はなんであれ、避けたほうがベターだとも。こうした言い方を萩原さんは、自分のエゴを通したいがための「自分メッセージ」と呼んでいる。心がけるべきは、相手の心の動きに合わせて使う「相手メッセージ」。言われた相手が、どう感じるかを念頭に置きながら、会話を重ねることで、親も心を開いてくれる。