JR東海「リニア中央新幹線」に静岡県知事交代でも残る3つの難題 プロジェクトを左右する「工期・資金・人材」
もともと、建設業界はきつい仕事であることなどが敬遠され、若者の流入不足が問題視されている。JR東海もここ数年、リニア工事の本格化を見据えて、建設関連の人員を厚めに採用してきた。ただ、「電気系統などの自己都合退職者は年間100人単位に及ぶこともある」と、同社の関係者は明かす。 JR東海の広報は、「退職者等について当社から公表している以上の回答はいたしかねます」とコメントする。 JR東海は新卒採用だけでなく、工事計画、設計・施工管理指導、用地協議などで即戦力となる人員のキャリア採用を積極化する構えだ。この先、工事進捗に応じて人員を適切に配置できるのか、気になるところだ。
リニア事業は国家的プロジェクトという側面だけでなく、JR東海の経営戦略としても重要な位置づけにある。3つの難題をクリアして、東京―大阪を1時間強で移動できる輸送ルートを完成させることができるのか。JR東海の胆力が試されるのはこれからだ。
梅咲 恵司 :東洋経済 記者