ドーム球場の屋根で発電できる!?ノーベル化学賞が有力視される発明とは
場合によっては印刷技術を使ってシートの上に印刷して作ることもできる電池なんですよ。だからこれってつまり、作るためのコストがすごく安くなるんです。 ■経済安全保障上もメリット この技術、もう一つポイントがあって、先ほどヨウ素と鉛で作ると言いましたが、ヨウ素は実は世界で日本が生産量第2位なんですよ。日本は資源が乏しい国として有名なのに、ペロブスカイト太陽電池については原材料を輸入に頼ることなく、国内で作ることができる。つまり、経済安全保障上もメリットがあるんです。 一般的な太陽電池っていうと、黒いパネルで曲げられないし、固いものです。そして立派な屋根や固い地盤の上などじゃないと、耐荷重の問題があるんです。従来の太陽電池は例えるなら液晶テレビみたいな作り方なんですよ。ガラスの上にいろんなものを吹き付けて、ガラスでサンドイッチして。だからすごく重たいし、曲げることも当然できない。 それが、とくに九州で車を走らせたら、太陽光パネルがもうあちこちにあって、これ以上はあんなふうに太陽光パネルを増やせない感じがするじゃないですか。今つけられる場所にはだいぶついてしまって、住宅の屋根も新築ならいいけれど、中古でそんなに重たいもの載せられないとか、制限も出てきます。 でも、ペロブスカイト太陽電池なら、それこそみずほPayPayドームみたいな不思議な形をした屋根をしているとか、屋根はないけど壁はあるとか、いろんなところに付けることができます。日本は2050年にカーボンニュートラルって言っています。そのためには太陽光発電をもっともっとつけていかなきゃいけない。だけどなかなか現状のものはつけられない。 そこで、ペロブスカイトだったらどこにでもつけられるじゃないか、ということで、今大注目されています。これ、例えば集合住宅だったら、ベランダの柵とか、日当たりがよい窓ガラスには、塗布する量を調節して光が透過するような状態にするとか、内窓に付けるようなタイプがあったりとか、その加工の仕方についてはメーカーがいろいろ研究をしています。