ドーム球場の屋根で発電できる!?ノーベル化学賞が有力視される発明とは
■いまは世界をリードしていても… まだ課題はいろいろあって、薄く作る分、今のガラスで囲ったシリコン製のものより耐久性が弱いとかいろいろあるんですが、可能性はめちゃくちゃあると思います。今のパネルも使用期限を迎えた後のゴミ問題があるように、ペロブスカイトもリサイクルの問題はあると言われています。でも、これもきっと解決できると考えています。 そもそも私は、既存の太陽光パネルもリサイクルできなくてゴミになるって言われていますが、本当にそうなるとは思っていません。先ほど液晶テレビと一緒と言ったじゃないですか。テレビだってリサイクル回収してますよね。太陽光パネルのリサイクルが必要になるのはこれから。企業からしてみると、大量の廃棄パネルが出てきて初めてビジネスになるんですよ。 だから技術的にはもう準備している企業たくさんあって、いざ廃棄パネルがバンバン出てくるようになったら、リサイクルの問題はおのずと解決していくと思います。 ペロブスカイト太陽電池、基本的には今はまだ売っていません。だから2030年にみずほPayPayドームに設置される、というのは今出ているプランの中では日本初の大規模設置になるかもしれません。今トップを走っているのは来年2025年に実用化する積水化学と言われていて、ドームの屋根につけるのも積水化学なんです。でも、パナソニックやYKKも2026年には実用化すると言っています。 ひとつ気がかりなことがあります。かつて日本は太陽光パネル世界一だったんですよ。今は残念ながら見る影もなく、中国製品が世界中を席巻しているんですよね。風力発電はもう戦いに負けて、日本メーカーは全社撤退してしまっています。EV(電気自動車)で使うリチウムイオン蓄電池もかつて日本が世界一だったんですよ。今は中国のCACLっていう会社が圧倒的世界一。ちょっと悲しいですね。 ペロブスカイトもフィルムタイプでいろんな作り方があるんですけど、フィルムタイプは日本が今トップを走っています。ただこの黎明期から大量生産のフェーズに切り替わる、みんなが使うタイミングになったときに、ドンって設備投資して一気にコストを下げた人が勝つんですよ。
だから発明の段階ではリードしていても、マーケットができたときに本当に勝ち続けられるか。今まで日本は負け続けているので、ここでどれだけ思い切った設備投資や大量普及期に備えた戦略が取れるかどうか。やはり国がバックアップしながらの民間の判断です。同じ轍を踏んでほしくないですね。 資源が日本に豊富にあるというのが、他のものと違うからぜひ国の産業としても力を入れてほしいです。何とかこれ、次のフェーズを勝ってほしい。ノーベル化学賞を獲ったらなおさらです。
RKB毎日放送