熊本市電「積み残し」乗り場から軌道上にあふれる人…ピーク時需要対応できず、新型「3両編成」に期待
朝の通勤・通学時間帯に熊本市電で乗客が乗りきれない「積み残し」が問題になっている。現行車両の輸送力ではピーク時の需要に対応できないことが主な要因で、乗り場から人があふれる電停もあり、安全面での課題も浮上する。市交通局は24日から初となる3両編成の新型車両を導入し、改善につなげたい考えだ。 【写真】試乗会で走行する熊本市電の新型車両「2400形」
11月中旬の平日朝、熊本市東区の健軍町電停で、高校生やスーツ姿のサラリーマンら約100人が長蛇の列を作った。乗り場には入りきれず、軌道上のスペースにも並んでいた。
雨天時には、道路を挟んだ商店街のアーケードまで列が延びることもある。乗客からは「電車に乗れずに学校に遅れそうになった」「電停が狭く、すぐ近くを自動車が走って危ない」との声が聞かれた。
市交通局の9、10月の調査によると、同電停は市中心部に向かう上り線の始発に当たり、平日朝のピーク時(午前7時半~8時)の積み残しは平均46人に上った。乗客は熊本都市圏から集まっており、定員約70~80人の現行車両(1、2両編成)では輸送力が追いつかない。運転士不足のため、6月のダイヤ改正でピーク時も含め運行本数を減らしたことも影響している。
積み残しは、JRと接続する熊本駅前、新水前寺駅前の両電停でも発生している。特に新水前寺駅前電停では到着時に車両がすでに満員で、電停で待つ人が全く乗れないこともあるという。市は同電停―辛島町電停間を往復する折り返し便を運行しているが、解消にはいたっていない。
解決の一手として、24日から営業運行を開始するのが3両編成の新型車両だ。定員は112人で、現行車両の平均の約1・5倍となる。バリアフリー対応の低床車両では九州の路面電車で最大だという。今年度は2編成で導入し、平日朝の通勤・通学時間帯の午前7時半と午前7時50分、健軍町電停を発車する。
市交通局は同電停の積み残しが平均5人程度になると試算する。大西一史市長は今月8日の記者会見で、「積み残しの解消につながることを期待している」と述べた。