だからあなたはダマされる! 高額商品が「超お買い得」に見えてくる、古典的な「販売手法」の中身【経済評論家が解説】
10万円の商品…「高い」と感じるとき、「安い」と感じるとき
宝石店に行くと、店頭に高価で大きな宝石が展示してあることがあります。強盗に盗まれるリスクを覚悟してまで展示するには、それなりのワケがあるはずです。来店したアラブの王様が買ってくれるかもしれない、という期待もあるでしょうが、それ以外にも理由があります。 店頭の500万円の宝石をまぶしく見つめる客は、憧れを募らせながらも「ほしいけれど、買えない…」と思いつつ、店に入ることになります。すると店内には10万円台の宝石がズラリと並んでいます。「安い、これなら買える!」とばかりに、思い切って買ってしまう…という客も多いのではないでしょうか。 頭のなかに〈500万円〉という数字が残っているときに〈10万円〉という数字を見るのと、立ち寄った100均の記憶が残っているときに〈10万円〉という数字を見るのとでは、イメージがまったく異なるでしょうから。
高額商品に触れていると「5万円」も誤差の範囲に感じられ…
マンションを買うときは、広い5,000万円のマンションと狭い3,000万円のマンションを比べて悩む、という人も多いでしょう。「ローンを組んだときに返済できるか」など、さまざまなことを考えるのでしょうが、いずれにしても〈5,000万円〉と〈3,000万円〉という数字が深く頭に刻み込まれるはずです。 悩んだ末に決断して契約すると、今度は家具がほしくなります。家具売り場へ行くと、普通の5万円の家具と素敵な10万円の家具が並んでいるでしょう。「5万円と10万円なら誤差の範囲だから、素敵なほうを買おう」と即決する人も多いのではないでしょうか。 マンションを買ったら、家具を買うまでの間にある程度の時間の経過が必要です。その間に、遠くの安売りスーパーまで歩いたり、100均に立ち寄ったりして、頭から大きな数字を消し去ったあとに家具を買いに行けば、慎重に家具選びをするようになるでしょうから。
倍額に値上げしてから「半額バーゲン」開始!?
途上国へ行くと「値切れば半分以下になる」といった店も多くあります。日本人は値切って半分になると大いに得をした気持ちになって喜んで買う人も多いのですが、事情通は5分の1に値切っている、といったケースも少なくないようです。 先進国でも、常にバーゲンセールをしている店があります。100円の品を200円に値上げしたうえで「半額セール実施中」と宣伝するのです。200円という数字が頭に入ったうえで、半額セールだから100円で買える、となれば、得をした気分になって買う客も多いでしょうから。