だからあなたはダマされる! 高額商品が「超お買い得」に見えてくる、古典的な「販売手法」の中身【経済評論家が解説】
人間は触れた情報に影響を受け、認識にさまざまなゆがみが生じることが知られています。そして昔から、そんな人間の認知のゆがみを応用した、さまざまな販売テクニックが存在します。お買い得商品に飛びつきたくなる感覚も、もしかしたら売り手側から巧妙にコントロールされているのかもしれません。経済評論家の塚崎公義氏がわかりやすく解説します。 年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
人間の脳は「直前に見た数字」に影響されがち
人間の眼が錯覚するのは有名ですが、脳も錯覚します。 拙稿 『ナゼ?「うまくいったら高額報酬を保証」より「ヘマしたら高額報酬から減額」の契約のほうが〈高い成果〉を見込めるワケ』 では「一度手に入れたものには価値を感じて、手放したくなくなる」という錯覚を 、『「病気リスクを伴う危険な仕事、いくらならやる?」「病気が治るかもしれない薬、いくらなら買う?」…人間の脳、同じ趣旨の問いかけに「判断がブレブレ」になる理由』 では、「非常に小さな確率は実際よりも大きく感じる」という錯覚を取り上げましたが、今回は「人間は直前に見た数字に影響される」という錯覚を見ていきたいと思います。 ある教室で、学生に2つの質問をします。 1つ目:「利根川は50kmより長いと思いますか? イエスかノーで答えて下さい」 2つ目:「では、利根川の長さは何kmだと思いますか?」 別の教室にいる学生にも同じような2つの質問をします。 1つ目:「利根川は500kmより長いと思いますか? イエスかノーで答えて下さい」 2つ目:「では、利根川の長さは何kmだと思いますか?」 1つ目の質問で提示した数字の大きさの違いによって、2つの教室では、まったく同じ内容のはずの2つ目の質問に対する答えの平均が異なるのです。後者のほうが長いのですね。質問自体は同じ「利根川の長さは?」なのですが、直前に聞いた数字に影響されるということのようです。 学生に学籍番号の下2桁を書かせたうえで「アフリカにある国の数」を聞くと、学籍番号の下2桁が大きい学生のほうが第2問にも大きな答えを書いた、という実験結果もあるそうです…さすがにチョッと信じたくないですが(笑)。