阪神FA移籍経験者が糸井の成功を予測!
阪神がFAで獲得した糸井嘉男(35)への期待値が高まっているが、不安要素も少なくない。 交流戦以外では経験のない、セ・リーグの野球に対応できるのか。左打者に不利な浜風の吹く本拠地甲子園で本塁打が減り、バッティングを崩さないか。日ハム、オリックス時代の比ではない関西独特のマスコミ攻勢と、ファンからのプレッシャーに耐えることができるのか。 しかし、広島からFAで阪神に移籍、初年度に腰痛などの故障で苦しんだ経験を持つ新井貴浩(39)は、阪神へのFA移籍組の先輩として、ライバル球団へ塩を送る気持ちで、新戦力の糸井にエールを送った。 「FAの先輩として? 僕なんかがアドバイスを送るのは失礼にあたります。3割を6年連続で打った本当の一流プレーヤー。僕が移籍したときとは、ベースからして違いますよ。怪我さえしなければ、普通に3割、25本、100打点は、突破するんじゃないですか。セ、パの野球の違いも糸井選手のレベルになると関係ないと思う。しかも、監督自らがFA移籍経験のある金本監督だから不安はないのでは。戦う側からすれば、糸井選手は怖い存在ですよ」 今季の糸井は、打率.306、17本塁打、79得点、70打点の数字を残し、53盗塁で史上最年長タイトルも獲得した。新井は3割、25本、100打点と、ぐんと数字をアップさせて糸井の移籍1年目の活躍を予測した。 実は、新井も移籍最終年の2007年は、広島で全試合出場を果たし打率.290、28本、102打点の数字を残し、阪神へFA移籍している。その移籍初年度となる2008年は、途中、腰を痛めながらも北京五輪代表に選ばれ無理をしたため、94試合出場に終わっていたが、怪我のなかった前半戦は3割をキープしながらチームの首位独走をそのバットで引っ張っていた。 FA移籍選手には、「結果を出さねばならない」という責任感とプレッシャーがのしかかるが、新井は、選手によってはそれが逆に集中力に変わり、爆発する可能性を秘めていると指摘するのだ。糸井は「宇宙人」と揶揄されるほどつかみどころのない性格だけに、プレッシャーなどどこ吹く顔で吹き飛ばしてしまうのかもしれない。 また新井も糸井も、細かく配球を読むのではなく、ファーストストライクをどんどん積極的に振っていくというバッティングスタイルが共通している。早くも、1番だ、2番だ、3番だと議論が起きている糸井の打順に関しては、そのスタイルを殺さない場所で起用できれば“はまった”という成功につながる可能性もある。