「偏差値2~3上の大学に入るために1000万円かけますか?」大学進学実績から見る“中学受験のコスパ” GMARCH合格者には公立高校出身者が多い理由
GMARCHへの進学を目指すなら「中学受験」はコスパが悪い
「『子供にはGMARCH(学習院大、明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大)くらいの学歴を持たせたい』と考えて、中学受験をさせる親御さんは多いですが、GMARCHクラスを狙うなら中学受験のコスパは非常に悪い。GMARCHには中高一貫校から多数の合格者が出ていますが、公立高校も決して負けてはいないからです」(伊藤氏) 実際に現役でMARCHに進学した生徒の割合(現役進学率)を高校別に見ると、意外な事実が判明する。明治、立教などの有名私大では、(内部進学のある附属校を除くと)私立中高一貫校よりも公立高校のほうが現役進学率が高いのだ。約4300の高校を対象にした大学通信オンラインの調査結果で比べると、2024年度のMARCH現役進学率の全国1位は都立・調布北(30.2%)だった。それ以下を見ても、千葉県立の小金(29.5%)、神奈川県立の茅ヶ崎北陵(29.4%)、都立の小金井北(28.6%)、三田(28.5%)、神奈川県立の希望ヶ丘(27.7%)、新城(27.6%)と公立高校が続いている(順位はいずれも筆者調べ)。 『「中学受験」をするか迷ったら最初に知ってほしいこと』(Gakken)著者で、Xアカウント「東京高校受験主義」で4万8000人のフォロワーをもつ塾講師の東田高志氏はこう言う。 「都立高校のなかでトップ校と呼ばれているのは、日比谷や西、国立などで、2番手系と呼ばれているのが青山、立川、新宿など。ここまでがいわゆる“難関校”です。その下に豊多摩や北園、武蔵野北、竹早、上野、駒場、町田など3番手系が続きますが、3番手系の高校でもそれぞれGMARCHには毎年200~300人くらいの合格者を出しています。MARCHの現役進学率が日本一だった調布北も、この3番手系の高校です。これらの学校で真ん中ぐらいの成績を保てば、MARCHには入れるということです。 なぜ高校受験組が健闘しているかというと、中学受験の入試科目には英語がないが、高校受験にはあり、高校受験組は受験勉強で英語が鍛えられるからです。中高一貫校のパンフレット等を見ると、『英語教育にはこんなに力を入れている』とアピールしている学校が多いですが、受験のための勉強となると真剣さが異なります。GMARCHの大学入試では英語の配点が高い学部が多く、ここで中高一貫校の成績中位・下位の生徒は苦戦するのです」 だから、決して難関とは言えない都立高校からでも、GMARCHは十分狙えるのだという。
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