「大学入学前」かかるお金は? 受験料から一人暮らしの準備まで「大学生協」が調査
大学生活とお金
保険や貯蓄を考えるとき、「子どもの大学卒業までにいくらかかるか」ということに注目する子育て世代も多いでしょう。しかし、インターネットなどで得られる情報は「ざっくりこれぐらい」という程度で、具体的な金額はよくわからないものです。実際には、どんなことに、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。全国大学生活協同組合連合会が、新入生の保護者へ調査をして、実際にかかった詳しい金額がわかりました。 【写真】「国立大は今後も値上げが続出する」 私立文系でも学部で20万円以上の差、各大学の授業料を比較すると…
わが子の大学受験に備えて、保護者はどれくらいのお金を用意しておけばいいのでしょうか。全国大学生活協同組合連合会が大学・短期大学に入学した新入生の保護者に行った調査(2023年度)では、大学受験から合格までの間にかかった費用は平均118万6900円でした。 このうち、出願にかかった費用は13万400円。大学入学共通テストの検定料が3教科以上の場合で1万8000円、私立大の受験料が1校あたり3万5000円程度であることを考えると、平均して3~4校ほど受けていることがわかります。また、学校納付金については、入学しなかった大学にも平均で27万円かかっていることがわかります。もちろんこれらは、受けるのが国公立大なのか私立大なのか、あるいは希望する学部によっても異なってくるでしょう。
見落としがちな費用
それ以外にも見落としがちな費用がいくつもあります。国公立大と私立大の文系・理工系ごとに、自宅生と下宿生に分けてもう少し詳しく見ていきます。 入学を決めてからの準備にかかった費用の平均合計額は、「国公立文系・自宅」で約44万円、「国公立理工系・下宿」で約119万円です。私立大も、「私立文系・自宅」で約39万円、「私立理工系・下宿」で約115万円になっています。 全国大学生活協同組合連合会の広報担当者によると、もっとも多くの保護者が「予想外」として挙げたのは、「パソコンや教科書、教材の費用」でした。その割合は実に約4割に上ります。 今や大学生の必須アイテムであるパソコンですが、学部によって金額に差が生じることがあります。表にある理工系のほか、医歯薬系や美術系などでも高いスペックのパソコンが必要になり、多くの文系学部に比べて高額になる傾向があります。 「パソコンや教材購入の費用は、私立・国公立、文系・理工系を問わず20万~30万円となっています。専門的な学術書や医学書などは一冊で何万円もすることもありますから、驚いてしまう親御さんも多いようです。また、建築系や美術系などの学部は教材の費用がかさむこともあります」 自宅生に比べて下宿生の出費が大きいのが「入学式出席のための費用」です。これには家族の旅費や交通費も含まれています。自宅生との違いは、新生活の準備費用にも表れており、転入先で使う自転車やバイクの費用のほか、衣類などの出費もやや多めです。入学に備えて髪にパーマをかけたりカラーリングしたりする例も少なくないようで、費用がかさむことは、おしゃれをしたい年頃であることも反映しているかもしれません。 では、こうした多くの出費に、保護者はどのように対処しているのでしょうか。下のグラフを見ると(複数回答)、「学資保険や進学用の貯金でまかなった」という保護者が最も多く、半数以上を占めています。次いで、「貯蓄の切り崩し」「奨学金の申請」が続いています。 一方で「受験から入学までの間に費用準備で悩んだ」と答えた人の割合は約35%と、ここ5年で最多となりました。これについて広報担当者はこう分析します。 「最近は賃上げの機運も高まっていますが、やはりコロナ禍の影響は大きかったのだと思います。多くの保護者が学資保険などの備えで乗り切っていますが、それができなかった家庭で『貯蓄切り崩し』という選択肢がとられているのでしょう」