実家放置で固定資産税が6倍に!? 空き家になる前に考える対策とは?
改正空家法は、2015年に全面施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づき、空き家の管理を強化するための法律です。 この法律は、増加する空き家問題に対処するために、自治体に対して空き家を適切に管理する責任を課し、所有者に対しても、空き家を放置することのリスクを明確にしました。 今回は、2023年12月に施行された改正空家法で定められた「管理不全空き家」と「特定空き家」の違いを踏まえつつ、空き家になる前にできる対策について解説します。 ▼亡くなった母が私名義で「500万円」を遺してくれていた! 名義は自分でも「相続税」はかかる?
「管理不全空き家」と「特定空き家」の違いについて
空き家問題が深刻化するなか、改正空き家法では「管理不全空き家」と「特定空き家」という2つのカテゴリが設けられています。これらの違いを理解することは、空き家を適切に管理し、リスクを回避するための第一歩です。 1)管理不全空き家とは? 「管理不全空き家」とは、適切に管理されていない空き家を指します。この状態にある空き家は、外観が荒れ果てていたり、放置されていたりして、周囲に悪影響を及ぼす可能性があります。具体的には、以下のような状態が該当します。 ・塀や屋根の崩れ ・窓の破損 ・ゴミが散乱している ・害虫や害獣の巣になっている 管理不全空き家として認定されると、自治体から改善を求める勧告が届きます。もし改善が行われない場合、最終的には強制的に撤去や処分されることもあります。 また、市区町村長から勧告を受けると、住宅用地の特例が適用されなくなります。通常、住宅用地に該当する場合、固定資産税は小規模住宅用地(200平方メートル以下の部分)において6分の1に軽減されます。 よって、管理不全空き家として勧告を受けると、固定資産税が最大で6倍になる可能性があります。 2)特定空き家とは? 一方、「特定空き家」は管理不全空き家のなかでも特に、「地域に深刻な影響を及ぼす」と判断された空き家を指します。特定空き家に該当する条件は、以下のとおりです。 ・周囲の環境に重大な影響を与えること ・地域の景観を損なうこと ・住民の生活に支障をきたすこと 具体的には、崩落や火災の危険性がある場合、悪臭や害虫の発生によって近隣住民に直接的な悪影響を与える場合などが挙げられます。 特定空き家に指定されると、所有者には改善のための具体的な期限が設けられ、期限内に対応しない場合は、自治体が強制的に撤去を行うことがあります。 特定空き家が行政代執行されて解体される場合、その解体費用は原則として所有者が負担します。このため、特定空き家に認定されることは、所有者にとって非常に厳しい状況を意味します。