天皇杯4強3ゴール起点は全て京都MF川崎颯太、地元甲府の栄冠にも深めた決意「実家に帰った時に…」「自分がここでタイトルを」
[9.18 天皇杯準々決勝 千葉 0-3 京都 フクアリ] 京都サンガF.C.を2年ぶりの天皇杯ベスト4に導く3ゴールは、すべて弱冠23歳の若き主将のパスから生まれていた。 【写真】「スタイル抜群」「目のやり場に困る」“勝利の女神”のアウェー遠征に反響 パリ五輪代表MF川崎颯太は天皇杯準々決勝・千葉戦の前半11分、鋭い縦パスをFW豊川雄太に当てて先制点の起点を担うと、後半4分には振り向きざまのスルーパスでFWマルコ・トゥーリオの追加点をアシスト。さらに同40分には左サイドをオーバーラップしたDF三竿雄斗に浮き球パスを通し、MF平戸太貴のダメ押し弾もお膳立てした。 特に圧巻だったのは2点目のスルーパス。後ろ向きでボールを扱う川崎に対し、千葉の選手はラインコントロールを試みてくる中、スキを見逃さない配球で綺麗にSBとCBの間を通して見せた。 「トヨくん(豊川)もそうだし、マルコもそうだし、ああいうところを常に狙ってくれているのはわかっていた。自分としてもプロ5年目で何本出せたパスかはわからないけど、常に練習からああやって動き出してくれて、自分もチャレンジしてきた中、今日もチャレンジできたからこその得点だった」 川崎はこの活躍により、自身がピッチに立った天皇杯では全3試合連続の得点関与を達成。3回戦・清水戦(◯3-1)で力強いターンからの持ち出しでFW原大智のダメ押しゴールをアシストすると、4回戦・大分戦(◯2-0)では試合を決定づける2点目を自ら決めるなど、持ち前のアグレッシブな守備だけでなく攻撃でも躍進の立役者となっている。 「自分自身、今日もゴールを決められるシーンがあったので満足しているわけではないけど、前回、前々回とアシスト、得点を決められて結果を出せているのでそこは一皮剥けていると感じている」 世代別日本代表の活動でも見せていた一発勝負のたくましさはクラブでも健在。準決勝に向けても「次は鹿島、神戸と強い相手になるけど貪欲にシュートや、結果につながるパスをチャレンジしていきたい」と継続を誓った。 そんな川崎は2年前の天皇杯4強も経験したが、ピッチに立ったのは延長戦で敗れた準決勝・広島戦(●1-2)の後半31分以降のみで悔しさばかりを残した。自身は残留争いの真っ只中にあったリーグ戦での出場がメイン。「あの時は残留に必死で天皇杯4強を意識できていなかったところがあった」と振り返る。 もっともその大会では、川崎が小中学生時代に育成組織で過ごした地元山梨のヴァンフォーレ甲府が優勝し、AFCチャンピオンズリーグ初出場を達成。J2からのアジア挑戦というサクセスストーリーを演じており、大きな刺激を受けていた。 今季の京都は「チョウさんも今日のミーティングでタイトルを取りにいきたいという話をしていたし、まだ自分たちも残留に向けて気を抜けないけど、とうとう来たんだという気持ちは前回よりあると思う」と川崎。甲府が見せた躍進も記憶に刻み、本気でタイトルを目指して戦っていく構えだ。 「甲府の天皇杯決勝も見ていたし、そこで自分たちが4強で、あと1回勝てば決勝で甲府と当たれた特別な大会だった。実家に帰った時とかにACLに出たからこそ甲府を応援しようという街の雰囲気があった。京都も天皇杯に優勝すること、ACLに出ることによって京都サンガというコンテンツがもっとメジャーなものになっていければと思う」 そして何よりチームリーダーとして、高校時代に選んだここ京都に22年ぶりの天皇杯タイトルを残す使命がある。 「今日対戦した千葉にもお世話になったサンガのコーチがいたし、自分がお世話になった選手やコーチは毎年変わってしまうけど、自分がここでタイトルを取る姿、そのパフォーマンスを見せられるように。それも一つの恩返しだと思うので、この京都サンガで恩返しができるように最高の準備をして次に臨みたいと思います」