再雇用後も年収500万円の62歳元モーレツ会社員、70歳から月25万円もらう気マンマンだったが…年金大幅ダウンも〈年金繰下げ〉を断念した妻からのひと言【社労士の助言】
社労士からの問いかけ~「無理して働き続けることが本当に幸せですか?」
そして社労士は豊さんの家計についてヒアリングしました。 年金収入は、豊さんの年金が月18万円、豊さんの妻の年金が月5万円で合わせて月23万円。現在の生活費が月28万円ほどなので、65歳以降に働かなければ約5万円のマイナスです。 もし繰下げ受給すると、豊さんの70歳からの年金が月25万円程度となり、妻の年金とあわせれば生活に余裕ができます。 ところで、豊さんの資産を聞いてみると貯金が約3,000万円あるとのこと。家族想いの豊さんはできるだけ多く妻と子供たちに遺したいと考えているようです。 そこで社労士は、「豊さんは今までワーカーホリックを自認するほど家族のために必死に働いてきました。どうしたって年齢とともに体力は衰えますし、無理して働けば労災の危険性も高まります。すでにお子さんたちは独立し、それぞれの人生を歩んでいます。もうご自身の健康や奥様との時間を第一に考えてもよろしいのではないでしょうか。無理して働き続けることが本当に幸せですか?」と問いかけました。 令和元年、金融審議会の市場ワーキング・グループ報告書において、「高齢夫婦無職世帯の平均的な姿で見ると、毎月の赤字額は約5万円となって」おり、「収入と支出の差である不足額約5万円が毎月発生する場合には、20年で約1,300万円、30年で約2,000万円の取崩しが必要になる」とされたのが老後2000万円問題です。 3,000万円もの貯金があれば、約5万円のマイナス分を取り崩しながらでも65歳からの年金額と合わせて十分に生活できます。急な出費があっても対応できるでしょう。 妻からの「私はあなたとゆっくり過ごしたい」、そして社労士からの「無理して働き続けることが本当に幸せですか?」いう言葉が、豊さんの心に響きます。夫の健康を気にかけながら夕飯の準備をしている妻をぼんやり見ていると、自分の健康や妻との時間を優先することが、長い目で見たときに本当の豊かさにつながるのではないかと、ふと気づきました。 最終的に、豊さんは家族との話し合いを経て65歳から年金を受け取ることに決めました。妻と過ごす時間を大切にし、老後の人生を楽しむことを選んだのです。 この決断によって豊さんは安心して老後を迎える準備ができると同時に、心の余裕を持つことができました。 角村 俊一 角村FP社労士事務所代表・CFP
【関連記事】
- 50歳で結婚に「実家が太いからでしょ?」の声も…“竹下総理の孫”だけでは続けてこられなかった28年間の重み
- 「親が亡くなったら、真っ先にコンビニへ走る」が新常識!相続手続きで困らないためにやるべき、たった一つのこと【税理士が解説】
- 誰があの子の面倒をみるの…預金3,500万円・年金月14万円の66歳女性、30歳長男を溺愛した結果「老後破産」の大ピンチ→FPが伝えた“3つの助言”
- えっ、遺族年金がもらえない!?…夫に先立たれ、〈年金月6万円〉生活を余儀なくされた65歳妻。窮地を救った「緑色の封筒」に思わず嬉し涙【CFPの助言】
- お父さん、ありがとう…年金月7万円の66歳女性「遺族年金額」に絶望も、亡き夫からの“プレゼント”に涙【FPが解説】