教育移住で逆に気づいた“日本のすごさ”…給食や教室掃除がもたらすもの
「自然な日本語」習得できるか
マレーシアに教育移住したエリさんは、そもそも母国語をきちんと話せない状況で、外国語を学ぶことに戸惑いも感じている。 「移住前から覚悟していたことではありますが、日本語への不安が強いです。人に対して『1個、2個』という単位を使ってしまうこともあります」 20代のエリさんは、「もっと世界の色々な文化に触れ、自分自身で考え、選択できる人間になってほしい」と思い、2022年、文化と言語の両面で多様な環境に身を置けるマレーシアへの教育移住を決めた。上の子どもは小学生になったばかりで、現地のインターナショナルスクールに通っている。 マレーシアでは当たり前のように英語が通じ、華僑も多いため中国語も身に付きやすい環境で、自然に外国語を身につけられる環境が整っているというが、エリさんは「母国語がないがしろになってしまうという恐怖」があるという。 「日本語をきちんと身につけた上ではじめて、英語や中国語ができるということが強みになると思います。インターナショナルスクールでは基本的に英語で話すため、日本語は家庭で学ぶように努力しています」(エリさん) 「世界の文化に触れて育ってほしい」という思いがある一方で、「日本人としての感覚」も身につけてほしいという本音も。 例えば日本では、室内でも野外でも「ゴミはゴミ箱に捨てる」というのは日本では当たり前のマナーとされるが、マレーシアでは必ずしもそうではないと、日々直面するカルチャーギャップの現実についてエリさんは語る。 基本的にマレーシアでは役割分担が明確で、「掃除は清掃スタッフが行う」のが一般的。自ら公共の場を清潔に保つという意識が生まれにくいという。そのため家庭内で掃除や日本的なマナーについて教えているという。
薬袋友花里