教育移住で逆に気づいた“日本のすごさ”…給食や教室掃除がもたらすもの
給食の大切さを痛感
キョウコさんの不安は、「健康な体づくり」にもあるという。 キョウコさんによると、オランダには学校専用の校庭があるところは少なく、体育の時間が日本より短い。もともと日本人より体格の良いオランダ人であれば、短時間の運動でも問題なく身体作りができるのかもしれないが、「日本人の子どもにとっては不十分なのでは」と感じるそうだ。 また食事に関しても、日本のように給食をみんなで食べるという習慣はない。栄養素を意識した食生活を育む「食育」のような教育もなく、食べるタイミングも自由。そのため子どもの食事選びをみていると栄養が偏りやすく、将来的に身体作りに影響するのではないかと懸念しているという。 キョウコさんの周囲の教育移住者のなかには、偏った食生活が影響か「子どもの精神面が不安定になっている気がする」と不安視する家庭もあるという。
計算の繰り返しで身につく忍耐力
2児をオランダのインターナショナルスクールに通わせる日々で、キョウコさんが気がついたのが「日本の小学生の計算能力の高さ」だったと話す。 「オランダでは時計を読めなかったり、計算が苦手な子が多い印象です」 オランダでは、勉強は良くも悪くも生徒の「自主性」に任せられる。きちんとそれぞれの子どもの個性を見てほめてもらえるため、自己肯定感が上がりやすい反面、座って勉強してきちんと基礎力を身につけることができない子どもも多いと感じるそうだ。 「日本では時計の読み方を小学校低学年で教わるため、きちんと時計を読むことができ、時間を意識して行動できる子が多いです。またしっかりと座学をするため、基礎的な計算能力が身についている子が多いですが、オランダでは必ずしもそうではありません」(キョウコさん) 日本では、同じ漢字を何度も書いて覚えたり、計算問題を何問も連続で解いたりして基礎力や忍耐力を身につけることが多い。もちろんこうした教育手法には賛否があるが、これによって基礎となる学力が身についていることも否定できないだろう。