「戦略的自律」が進む中東:BRICS拡大と「インド・中東・欧州経済回廊」で示したグローバル・プレイヤーとしての存在感
BRICS INFORMATION PORTALより
欧米中心の国際秩序が揺らぎを見せる中、秩序形成の主導権を握るためにはグローバル・サウス諸国からの支持を得ることが今後ますます重要になってくるのは衆目の一致するところであろう。そのような中、8月下旬のBRICS首脳会合、そして9月上旬のG20の場において、中東諸国を取り込もうとする動きがそれぞれで顕在化したことは、現下の地政学情勢における中東の位置づけを理解する上で興味深いものとなった。 8月22~24日に南アフリカで開催された BRICS首脳会合 において、2024年1月から新たに6カ国――アルゼンチン、エジプト、エチオピア、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)――の加盟を正式に認めることが発表された。BRICS拡大は昨年から話題を呼んでおり、今回の首脳会合で拡大が実現したことに大きなサプライズはない。しかし、新たに加盟する6カ国のうち、中東地域から4カ国も選ばれたことは多少の驚きをもって受け止められたように思う。 周知のとおり、ブラジル(Brazil)、ロシア(Russia)、インド(India)、中国(China)、南アフリカ(South Africa)で構成されるBRICSは、2010年に南アフリカが加盟して以来、現在の5カ国体制を続けてきた。しかし、グローバル・サウスの影響力の高まりに合わせて、近年は加盟国の拡大についてBRICS会合の場でも公に論じられるようになってきた。 南アフリカのナレディ・パンドール外相の8月7日付の発言 によると、「23カ国の首脳から公式にBRICS加盟への関心表明を受けて」おり、その内訳はアルジェリア、アルゼンチン、バングラデシュ、バーレーン、ベラルーシ、ボリビア、キューバ、エジプト、エチオピア、ホンジュラス、インドネシア、イラン、カザフスタン、クウェート、モロッコ、ナイジェリア、パレスチナ、サウジアラビア、セネガル、タイ、UAE、ベネズエラ、ベトナムであったという。
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村上拓哉