下位低迷の中で孤軍奮闘…首位打者、最多安打狙える「中日のスラッガー」は
和田コーチとの出会いがプラスに
細川の覚醒の要因として、和田一浩打撃コーチの存在が大きい。試合前の練習ではマンツーマン指導を受ける姿が日常の光景となっている。現役時代に30代以降で1901安打をマークし、名球会入りを果たした和田コーチの打撃フォームは独特だった。バットを上段に構えて上下に揺らし、オープンスタンスから左足を高く上げ、体をコマのように回転して振り抜く。ボールを手元まで引きつけて強い打球を放つ打法が可能なのは、背筋の強さとリストの強さが秘訣だった。 和田コーチは週刊ベースボールのインタビューで、自身の打撃で重視していることについて聞かれて以下のように語っている。 「う~ん……それを簡単に説明するのはすごく難しいのですが(苦笑)。ただ、順番に階段を上っていくこと。段飛ばしにはいかないということは間違いないと思います。いきなりトップレベルのバッティングをマネしたからといってできるわけではない。まず自分ができることをちょっとずつ増やしていくことからですね。一番の基本は強くバットを振ること。そこからフォームや考え方などを成長させることで伸びていく。まずは基本をやって、自分に合った打ち方や構え方などがあると思うので、それを身に付けていけばいい。僕は今でもその基本の部分を大事にしています」 細川は和田コーチとの出会いが野球人生で転機になった。球界を代表する強打者にステップアップしている。昨年に続いて2年連続の出場となった球宴では1戦目(エスコンF)に全セの「七番・左翼」でスタメン出場すると、1点を先制してさらに2回無死一、三塁の好機で全パの先発・山崎福也(日本ハム)の初球に投じた直球をとらえ、左翼線に適時二塁打。この回一挙9得点を挙げる猛攻につなげた。 後半戦も調子を落とすことなく、19試合連続出塁をマークしているが、チームの白星につながらなければ心から喜べない。春先に貯金6で首位に立つ快進撃を見せたが、その後は下降線をたどり現在借金10。白星を積み重ねるために打ち続ける。 写真=BBM
週刊ベースボール