独立開業に成功した士業が、資格取得後にやっていたこと (横須賀輝尚 経営コンサルタント)
■知識を蓄え、段階的に開業しよう
士業で失敗するパターンは、経営と営業の知識や経験をまったく持たずに開業し、仕事が取れないというものです。 逆にいえば、成功する人のほとんどが、経営や営業経験を持っているか、もしくは開業前に必死に勉強しています。市販されている士業の開業本や独立起業を指南する本のなかには、「勉強する暇があれば、すぐに独立開業しろ。経験がもっとも勉強になる」というものもあります。「経験がもっとも勉強になる」という後者には同意しますが、私の経験上、知識なき経験は非効率です。 成功する士業の形のひとつとしては、開業前にひと通りビジネスについて書籍、セミナーなどで勉強し、自分なりのプランを考えてから開業するというものがあります。もちろん、所詮は机上の空論であり、うまくいかないことも多いでしょう。しかし、知識的な土壌ができているため、ビジネスの修正スピードは知識がない場合にくらべはるかに早いといえます。 私の場合は、会社をリストラされたという事情でやむなく独立開業しながら、必死で経営の勉強をしました。最初は実践と知識の違いに戸惑いましたが、名刺の作り方、チラシの作り方などを学ぶことがなければ、収入が1,000万円を超えるまで倍以上の時間がかかったのではないか思うほどです。 このように、半年から1年くらいは経営や営業などの勉強をする準備期間に充てるのが本来はちょうどよいといえます。知識的な武装をし、そして独立開業した人は比較的成功率は高いといえます。したがって、ひとつの成功パターンは「受験→合格→経営の勉強→プランニング→独立開業」という流れになります。 そして、できることならば会社に勤めながら週末起業的に仕事を始めてしまうのがベストです。週末起業とは、平日は会社に勤務しながら早朝や夜間、そして週末にフリーで仕事を行うことです。もちろん、フルタイムにこだわる必要もありません。週3回程度はアルバイトなどで収入を得ながら、徐々に仕事を増やしていくという方法も賢明な選択です。 私は「正しい努力をすれば、誰でも成功できる」と考えていますが、スキルやキャリアが人それぞれで異なりますし、時代背景も変わります。そういう意味では、正しい努力をしても、必ず開業直後から仕事が取れるわけではないのです。ですから、背水の陣で開業するよりは週末起業的に、あるいは週3回程度の仕事をしながら段階的に独立するのが賢いやり方だといえるでしょう。 ただし、士業の仕事は性質上役所が関係することが多い仕事です。つまり、平日の日中にある程度自由に動けなければなりません。そのため、土日祝日のみの活動ではどうしても活動内容に制約が出てしまいます。そうすると、次のような発想が必要になるのです。