なぜ強い? J1再開後首位守る川崎フロンターレの破竹5連勝裏に小林悠の変貌あり
9月には33歳になり、ベテランの域に達している小林がつかんだものとは何なのか。試合後のオンライン会見でそれを問われた2017シーズンのMVPおよび得点王は「具体的には言いたくないです。警戒されちゃうので」と苦笑いを浮かべながら、答えられる範囲で一端を明かしてくれた。 「フリーになることが重要なので。パスを出す味方とのタイミングであるとか、どこでボールがほしいといったことは、日々の練習の段階から事細かに伝えています」 J1歴代で11位となる通算110ゴールを決めている小林は、相手ゴール前で味方のパスを引き出す際の独特かつ多彩な動きを武器としてきた。異能のゴールハンターぶりが「つかんだもの」を介してさらに進化したのか。パスの出し手となる大島は、ピッチ上で視界に入る小林をこう語る。 「ボールをもらうためのアクションが常に人一倍、目に入ってきますよね」 自分がフリーになる術を熟知しているがゆえに、味方をフリーにするパスも出せる。1点差に迫ってからわずか1分後。判断よく前へ飛び出して相手の縦パスをインターセプトした山根が、ドリブルを加速させてゴール前へ迫り、中央に陣取っていた小林へボールを預けた。 「(山根)視来のよさはそのままのスピードで(ペナルティーエリア内へ)入っていくものだと思ったので、自分のところへパスが来ればワンツーするイメージもできていました。なので、相手にボールを当てないように、しっかりとスペースに置くことだけを意識しました」 ボールの勢いを殺した右足による絶妙のワンタッチパスは、ベガルタの最終ラインの裏へ抜け出した山根の足元へ。迷うことなく振り抜いた左足に放たれた強烈な一撃が、再開後で初めて先発したベガルタの守護神、ヤクブ・スウォビィクの股間を抜けてゴールネットを揺らした。 一気呵成の同点劇の主役を演じた小林は、5-1で快勝した前節の横浜FC戦でも同点で迎えた後半15分から投入され、勝ち越しのPKとダメ押しとなる4点目を決めている。鬼木監督が言う。 「前節の活躍で言えば今節は先発でもいいぐらいでしたけど、時間的にそれほど多くの試合をこなしていないので、少し大事にいくようにしています」