<都内で過去最多“不登校生徒”への支援>(1)指導員による個別指導も…「教育支援センター」とは?
東京都内で「不登校」となっている児童・生徒は小中学校合わせて3万1726人(2023年度)で、11年連続で増加し、過去最多の人数となりました。これは、調査対象となっている学校数で割ると、1校当たり平均で16人という数値になります。子どもたちの将来のために国や東京都が行っている支援の取り組みを取材しました。 「教育支援センター」は文部科学省が中心となって行っているもので、不登校の児童や生徒が通う公立の施設で、無料で通うことができます。生徒たちの自主性の下、支援・指導を行うものです。学校との連携も進めています。 東京・江東区にある不登校の小中学生が通う教育支援センターは、人間関係や勉強についていけなくなったなどの理由から不登校となった63人の生徒が在籍しています。ここでは、学校の授業の代わりに指導員による個別指導が行われています。生徒たちは自分のペースで学んでいて、登校時間や教室で何をするのかも自由です。 このセンターでできた友達と仲むつまじい様子で卓球を楽しんでいたのは、中学2年生の男子生徒です。小学生の頃から気圧による体調の変化でたびたび学校を欠席していて、中学に入ると授業についていけなくなり、不登校となりました。男子生徒は「小学校の算数は1日遅れても取り返せたが、中学校からは数学で難しくなる。1日でも遅れたら一気についていけなくなる。みんなが先に進んでいって、つらくなった」と語ります。彼はセンターに平日毎日通い、学校には定期試験日のみ登校しています。男子生徒は「(センターでは)面白く教えてくれる」とした上で「自分のペースで勉強できるが、高校受験の視野が狭くなってしまうデメリットもある」と話します。学校の勉強に遅れをとらないよう、センターの協力の下、志望校の合格に向けて得意分野の数学に力を入れているといいます。 公立中学校の校長を務めてきた経験を生かし、相談員として日々生徒たちと向き合う伊藤さんは「不登校生徒の憩いの場」をつくっていきたいと話します。伊藤さんは「センターで英気を養ってもらい、戻れる時期が来たら学校という集団に戻ってほしいと思う」と話し、子どもたちを見守っています。 教育支援センターは文科省の管轄の下、区が予算を使って設備などを整えているため、相談員の伊藤さんは「江東区とどのように交渉して、より良い環境につなげられるか」を考えている様子でした。また「全て、普通の学校の代わりというわけにはいかない。学校と協力して、ここでできることをするのだと思う」と話しています。