信大の山岳科学研究の礎に 図書8000点寄贈の小谷隆一さん紹介する回顧展 長野県松本市
旧制松本高等学校卒業生で信州大学に膨大な山岳図書コレクションを寄贈した小谷隆一さん(1924~2006)の生誕100年を記念した回顧展が来年1月9日まで、松本市旭3の信大中央図書館で開かれている。国内有数とされる8000点もの書籍や地図は信大の山岳科学研究の礎となり、初めて人物に焦点を当てて功績を紹介している。 京都の商家に生まれ、商業学校から松高、旧東京帝国大学を経て家業を継いだ。学生時代から精力的に登山し、海外を含む数々の記録が残るほか、山岳図書は独自のものと収集家から引き継いだコレクションの充実に努めた。 信大は平成14(2002)年の山岳科学総合研究所(当時)開設に向けて山岳図書整備の提案を受け、紹介のあった小谷さんから15年に寄贈が実現した。思い入れのある松本で、母校を前身とすることが決め手だったという。 企画展では資料やエッセー原稿、愛用品などで生涯を振り返り、山行の資料、コレクションの一部も並ぶ。松高時代は寮生活の様子や、いずれも故人で同期の作家・辻邦生さんや後輩の作家・北杜夫さんらも名を連ねる卒業時の寄せ書きノートなどを紹介している。 企画した大学史資料センターは「原点に戻り、研究の一端を担うコレクションの位置づけを再確認できれば」とする。企画展に訪れた小谷さんの長男・達雄さん(71)=京都市=は「松本を古里のように思っていたので、展示を喜んでいると思う」と感謝していた。 12月11日午後0時20分からギャラリートーク(解説)がある。12月28日~1月5日は休館。
市民タイムス