【追跡】“ストロング系”の酎ハイ、なぜシェア縮小? アサヒ、サッポロは今後新商品の開発を行わないと明らかに
国内の酎ハイ市場の売り上げは、去年はおよそ5300億円と、この10年間で市場規模はほぼ2倍に拡大しました。このうち、アルコール度数が8%を超えるいわゆる「ストロング系」が占める割合は、かつては酎ハイ市場の40%以上を占めていましたが、去年は26%まで縮小しました。「安くて短時間で酔える」と人気を集めてきたストロング系は、なぜシェアが減ったのでしょうか。追跡しました。 横浜市にあるスーパー「アピタ」。酒売り場に向かうと、売り場で目立っていたのは、アルコール度数3~5%の商品を集めた低アルコールコーナーです。キャッチコピーは「かわいくて、甘くて、いろいろ飲みたい」。しかし、このスーパーをWBSが8年前に訪れたときには、アルコール度数が8%を超えるストロング系の商品が売り場の半分以上を占めていました。
この8年で一体何があったのでしょうか? 「ストロング系の商品の売れ行きはどうですか」(角谷暁子キャスター) 「ピーク全盛期に比べるとかなり減少しています。店に占める割合でいうと4~5割くらい。皆さん健康を意識してなのか、無糖だったりとかそういう商品が売れる」(「アピタ長津田店」の岩田渉食品副店長) このスーパーではコロナ禍で消費者の健康意識が高まったことを背景に、ストロング系の売り上げが減少。売り場も縮小していったのだといいます。 低アルコール飲料を求めに来た客に話を聞くと「(アルコール度数が高めの商品は)手に取らないです。あまり強いと。9%はやっぱりきついですね」「若い時は飲んでいたが、最近は健康とか考えると飲まない」と、やはり健康を意識しているとの声が上がります。 こうした中、アサヒビールはストロング系の缶酎ハイについて、今後は新商品を発売しない方針を決めました。一体なぜなのでしょうか。 「ストロング系の缶酎ハイを今後新しく発売しない理由は?」(角谷キャスター) 「グローバル、SDGs、健康にいいことをしようという動きの中で、飲酒問題がやはり取り上げられている。ローアルコール、ノンアルコールの方に戦略的にシフトすることを考えている」(「アサヒビール」マーケティング本部の梶浦瑞穂本部長) アサヒビールがいま力を入れているのが、ノンアルコールの分野です。去年9月には、東京・渋谷にノンアルコールカクテルなどを楽しめるバーを開業。ノンアルを新たな経営の柱と位置付けています。 「アルコールがたくさん入っていなくても、十分楽しめるような商品を次々に展開したい」(梶浦本部長) 2010年にストロング系市場に参入したアサヒビール。2020年には79種類のストロング系を展開していました。しかし、その数は急激に減少し、現在は一部の店舗で流通する1商品のみとなっています。 今回の決定について業界関係者からは「アサヒは健康リスクを理由に撤退することで、ストロング系の市場をリードするサントリーやキリンを牽制する狙いがあるのではないか」との声もあります。 アサヒビールがストロング系の新商品の発売をやめることについて、街で聞いてみると「時々飲むぐらいだが、自分の中の選択肢が1個消えるのはちょっと寂しい」「たくさん飲んでいたので悲しい。良さは、すぐ酔えるところ」との声があがりました。