【追跡】“ストロング系”の酎ハイ、なぜシェア縮小? アサヒ、サッポロは今後新商品の開発を行わないと明らかに
他社はアサヒに追随するか
アサヒビールに追随する動きは出るのでしょうか。 ストロングゼロを販売する「サントリー」スピリッツカンパニーの高橋直子RTD部長は「現時点で決まっているものはない。今後も客のニーズに対応できるマーケティング活動、適正飲酒の啓発活動、いずれの活動もしていきたい」と話します。サントリーでは、企業の新入社員向けに適正量の飲酒を呼び掛けるセミナーなどを開催しています。 一方キリンもLINEを活用して、日々の飲酒量の記録などができる法人向けの支援サービスを展開しています。キリンビールマーケティング部の松村孝弘さんは「今後の商品展開は現時点で決まっていない。引き続き適正飲酒の啓発を強化したい」と話します。 サッポロビールは「アルコール度数8%以上のRTD新商品の発売は行わない」と今後は新商品を発売しない方針だと明かしました。 アルコールの健康問題に詳しい筑波大学医学医療系の吉本尚准教授は、ストロング系酎ハイについて次のように指摘します 「『9%を1本買うより、7%を2本買って』と言った方がメーカーはいいと思う。コスパのいい商品を出すのは業界の首を絞める部分も若干ある。経営という意味でもプラスになる。そういう選択につながればありがたい」
アサヒの動きの背景にグローバル化
アサヒビールの動きについて、早稲田大学ビジネススクールの入山章栄教授は、背景にグローバル化があると指摘します。 「アサヒビールはいま、かなりグローバル化を進めていて、売り上げの半分が海外。株主も大体4割が外国人だと言われている。だから海外の目が気になる」 「一方、日本は実は世界で最もアルコールの規制が弱い国の一つだ。コンビニでも購入でき、路上飲みもできる。これは普通の先進国ではあり得ない。このギャップを理解することが大事で、実際、去年のラグビーのワールドカップでアサヒビールはスポンサーだったが、スタジアム内でスーパードライという看板を出せず『スーパートライ』にした。ステークホルダーのプレッシャーに応えるためにも、事業も難しくなってきた局面なので、そういった(ストロング系の缶酎ハイの新商品の発売をしない)決断を促す側面もあったのではないか」 ※ワールドビジネスサテライト