アメリカ ナショナルパークへの旅【ビッグベンド国立公園】どこまでも広がる乾燥した砂漠。 多様な生命があふれる大地の最果てにある奇跡の世界
大きなテキサスのその端に広大な砂漠の国立公園がある。メキシコとの国境、リオグランデ川、古代生物も闊歩した生命の源、恐ろしいほどに広がる満天の星。見どころの多い、知られざる大地だ。
テキサスは広い。行っても、行ってもテキサス……。今も昔も旅人は同じ思いを抱く。そのテキサスの最果てに、広大なビッグベンド国立公園がある。 ビッグベンドとは、「大きく曲がっている」という意味。曲がっているのは、西部劇でお馴染みの深い渓谷を流れるリオグランデ川だ。濁った流れはメキシコとの国境を成している。 このあたりはアメリカに4つある砂漠地帯のひとつ、チワワ砂漠にあたる。この北アメリカ最大の砂漠は、夏は乾燥して気温が43度まで上がる灼熱の大地だ。 それでも驚くことに、パーク内には120種もの植物が生きている。これは世界でも最大級の多様さで、このエリアにしか存在しない希少種も確認されている。色とりどりの花が咲き誇る早春は、まさに奇跡の絶景となる。また、国立公園で最多の450種の鳥類が生息するうえ、マウンテンライオン、シカ、クマなどの大型動物も生きている。 このすさまじい生命力の源となっているのが、2385mのエモリー山を中心とするチソス山脈。パンサー・ジャンクション・ビジターセンターから丘を上っていくと、次第に草原が現れ、低木の松とジュニパーの森となる。平地との気温差は8度以上。この植生の変化が多様な生き物を育んでいる。
アクティビティは、バランスロックなどの奇岩、先住民族のピクトグラムや遺跡が見られるハイキング、カヌーやラフティングなどのリバートリップが人気。さらに、忘れてはいけないのが星空。パーク周辺は人工の灯りを抑えて、夜空を暗く維持する活動を行っている。それだけに恐ろしいほどの星が眼前に現れる。 ネイティブ・アメリカン、鉱夫、テキサスレンジャー、メキシコの革命家。いろいろな人々が通り過ぎた大地で、満天の星を見上げるのもいい。