2024年「時計界のアカデミー賞」で国内注目ブランドも受賞! カギとなるのは「ローテク」!? 時計界の未来はどうなる?
●金の針賞(AIGUILLE D’OR Grand Prix)はIWC
今年のGPHGの最高賞、つまり2024年の時計No.1に輝いたのは、4月にジュネーブで開催された世界最大の時計フェア「ウォッチズ・アンド・ワンダーズ ジュネーブ(WWG)2024」で発表された、セキュラーカレンダー機構を搭載したIWCのコンプリケーションモデル「ポルトギーゼ・エターナル・カレンダー」Ref.IW505701だ。
これは至極順当なところだろう。現在使われているグレゴリオ暦の「うるう年」のルール。ふつうのパーペチュアル(永久)カレンダーモデルは、100年単位のルールに対応しているが、このモデルはわずか8個のパーツを追加するというスマートなメカニズムで、400年単位の特別ルール「100で割り切れる年は平年、400で割り切れる年は閏年とする」というルールにも対応した。つまり400年間は修正不要なのだ。 しかも、12時位置にあるIWC独自・北半球と南半球の両方の月相を表示するダブル・ムーンフェイズは「約4500万年に1日しか誤差が生じない」という、まさに天文学的な超高精度を実現している。 セキュラーカレンダー自体はすでに実現されたメカニズムだが、名作「ポルトギーゼ・パーペチュアルカレンダー」の進化版であり、大賞にふさわしい。
●その他の賞も妥当な結果
テンプに直接衝撃を与えるふたつの脱進機ホイールを備える革新的な構造で、スイスレバー脱進機よりも高いエネルギー効率を実現させたブティ・ライネン「KV20i Reversed」。 ひとつのキャリバーで永久カレンダー、球面ムーンフェイズ表示、逆行する月齢と閏年、ブルーチタンの超軽量トゥールビヨン、ジャンピングセコンド、パワーリザーブ、および時と分の二重表示という8つの複雑機構を実現したドゥ・ベトゥーンの「DB Kind Of Grande Complication」。この2モデルの、メンズウォッチ賞のメンズ コンプリケーション ウォッチ賞受賞は妥当なところだろう。 蝶がマザー・オブ・パールダイアル上でファンタジックに花々のあいだを優雅に遊び飛ぶメカニカル・アニメーション機構を搭載したレディース コンプリケーション ウォッチ賞の「レディ アーペル ブリーズ デテ ウォッチ」を筆頭に、レディス部門2つとArtistic Crafts Watch 賞と、ヴァン クリーフ&アーペルが3つの賞を受賞したこと。