医師にして史上最年少、第49代文科副大臣・今枝宗一郎を育んだ教育の中身 社会性のある夢を見る、真のキャリア教育とは
母がインストールしてくれた「愛のプログラミング」
重子:そんな夢を見る力を育んだ宗ちゃんのご家庭は、どんな教育方針だったのですか? 今枝:父親はサラリーマン、母親は、三ヶ日でみかん農家の娘として生まれた元教師です。ごく普通の家庭ですが、僕のことをとても愛してくれたし、自己肯定感を育んでくれたというのはすごくありますね。本当に小さいときから、何か目標を立てて、うまくいったらすぐ褒めてくれました。自分が目標を立てる、頑張って達成する、めっちゃ褒められるという、自己肯定感をマックスにするような教育を受けました。これは、多分お袋が僕に施した「愛のプログラミング」です。 重子:愛のプログラミング。いいわね。やり方を指示したり、認知的な能力(知識)を無理やり入れるのではなくて、見守っているのが素敵です。 今枝:そうですね。お袋も教師だったので、基礎的な子どもの育み方についての素養があったんでしょう。勉強についても、嫌いじゃなかったのでそれなりにやっていて。ここでも目標を立てる、頑張る、褒められるという状況だった。加えて、家の中の会話も多かったですね。うちの両親は社会問題とかそういう話が好きで、家庭で社会問題について、普通にしゃべるんですよ。僕もやっぱり背伸びしたい年頃なので、一所懸命その輪の中に入って話して。 重子:それってすばらしいですね。子どもの自己肯定感や共感力、社会性などの非認知能力は「体験」を通じて育まれていくと思っています。今は「体験格差」という言葉もあるけれど、やっぱり体験というのは、お金を払って何かを経験するとか、それだけじゃない。宗ちゃんのように、親と社会問題について話したり、いろいろな大人と会うこと、それこそがかけがえのない体験なんですね。 今枝:おっしゃる通りだと思います。 重子:でも、みんなが宗ちゃんのような家庭環境で育ったり、ほかの大人や社会との触れ合いがあるとは限りません。どうやったら、誰もが宗ちゃんのように自己肯定感や共感力、そして社会性などの非認知能力を育んでいけるとお考えですか? 今枝:それは、やっぱり「教育の中身」ですよね。