世界が日本にドン引き「精神医療のおぞましい実態」…「精神科病院ベッド数は世界一、不必要な薬漬け治療」課題山積の現実
今も続く入院者虐待事件
精神科病院で想像を絶する人権侵害が行われていたのは過去の話だと思うかもしれない。 しかし、2023年2月25日、NHKで放送された調査報道ドキュメント『ルポ死亡退院~精神医療・闇の実態~』では、東京都八王子市の滝山病院が取り上げられ、看護師らが寝ている入院者を殴る虐待など、非人道的な扱いを受ける患者の姿が映し出されて反響を呼んだ。 「1960年代は、滝山病院のような精神病院は珍しくありませんでした。今はかなり少なくなった。とはいえ、まだしぶとく生き残っている。こんな監獄病院は廃院処分にするしかありません。ですが、厚労省も東京都も、『改善命令』なんていう生ぬるいことで、事態を収めようとしている。日本の行政は、精神保健を抜本改革する能力を失ってしまった。これは、政治の問題であることは確かです。 しかし、精神病院のオーナーのブログには、安倍首相とのツーショットが誇らしげに掲載されています。日本の精神病院問題解決の見通しはお先真っ暗です」(実例:精神科病院協会のトップである山崎会長のブログ、恐るべき虐待事件を起こした神戸の神出病院理事長のブログ)
安易な大量処方をする精神科医
また、一般的な投薬治療に関しても、精神科病院をなくしたイタリアと比べて大きく違いがあるという。 「イタリアでは、まったく投薬治療をやらないわけではないですが、普通に市民生活をしている患者に対して、投薬はかなり慎重に行われます。 一方、日本では、入院中心ですから、副作用を無視した安易な大量処方をしたがる精神科医がすごく多い。しかし、一度、抗精神病薬を多量に服用させられると、脳に不可逆的変化が起きてしまうケースが多々あります。 しかも断薬や減薬の勉強をした精神科医は、本当に少ない。いま日本には10年ほど前から『セカンドオピニオン』という運動が起きていますが、これは、発達障害の人が統合失調症と誤診されて精神病院にいれられ、抗精神病薬を大量投与されて苦しむ人たちの起こした運動です。その被害者が、ものすごく大勢いるのです」 入院者が精神病棟で朽ち果てるのを待っている、そんな残酷な事態に手をこまねいているのが、この日本である。イタリアのように精神科病院を全廃するのは、この日本では「遠い夢」なんて、言ってる場合ではないのだ。 【こちらも読む】『「認知症」になって精神科病院に送り込まれると…入院すると待っている「驚愕の生活」』
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