「パタゴニア プロビジョンズ」のアンチョビに新テイスト。イワシを食べるのが環境にも人にもいいワケ
非食用のイワシは魚価が極端に低い。イワシが食用としてもっと流通すれば魚価も上がって漁師に還元できる。自然のサイクルの中でイワシを食べることが個体数の少ない魚の乱獲も防ぐことにつながるのだ。
イワシには大型魚にあるリスクがない
パタゴニアが食品事業に乗り出したのもこうした状況に一石を投じるためである。 パタゴニア プロビジョンズ、ディレクターの近藤さんは言う。 「パタゴニアでは、“私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む “をミッション・ステートメントとしてますが、地球を健康に保つためには自然の資源が健康であることが大前提ですよね。 農業では土を健康にする取り組みをしていますが、海の場合は獲れるお魚を美味しく食べましょうと提案したい。天然で旬のものは栄養価も高いし美味しいですからね。 アンチョビに使われるカタクチイワシは寿命も短くプランクトンを食べるため、大型魚にみられるような重金属(有害ミネラル)の蓄積がなく、健康面でも絶対的に優れているんです」。
この「ホワイト・アンチョビ」シリーズでは、漁獲管理されたカタクチイワシを製品化しているそうだ。 「スペイン北部沖のカンタブリア州は、持続可能な漁をしている地域。ターゲットとしない魚まで獲ってしまう混獲を最小限に抑え、イワシの群れのサイズにあった小規模な巻網漁法で最高品質のイワシを調達しています。 日本ではこういった漁獲管理はまだしっかりとされていません。そういう意味では大きなチャレンジになります。必要なものを必要な分だけ、自然界のバランスに合わせて。そうすることで未来に魚が残っていくのです」。 パタゴニア プロビジョンズで販売しているシーフードは高品質なのはもちろん、例えばサーモンはアラスカ先住民の手法から学んだ漁業を取り入れるなど、すべて未来の資源にインパクトの少ない調達法で行われているのだ。
「環境のため」が美味しいにもつながる
「美味しくイワシを味わおう!」がテーマの本イベント。当日はC-Blueのメンバーシェフである平 雅一さんのレストラン「CRAZY PIZZA」で、「ホワイト・アンチョビ スパイシー」も使用したイタリアン料理が提供された。 平シェフも“環境”に関しては思うところがあるようだ。 「僕はやっぱりお客さんに喜んでもらうのが一番だと考えていますが、これまでスペシャリティだったサンマが使えなくなったり、“美味しい”を追求する中でもそういう現実が迫ってきたんですね。 あとは例えば、心地よい環境で育った鶏の卵の方がほかの卵より美味しかったりもしますしね。結局、愛情かけて作ったものって、美味しさにもつながるということが見えてきました」。