湘南の18歳逸材・鈴木冬一が久保建英のいないU-20W杯代表の秘密兵器だ!
2017年秋にインドで開催された、FIFA・U-17ワールドカップに久保らとともに出場。全4試合に出場して1ゴールをあげるも、世界のレベルを知ったことで、むしろ危機感が芽生えた。国見高時代から厳しい指導で知られる名将・小嶺忠敏監督(73)に師事し、最後の1年間で自らを根本から鍛え直した。 昨夏にはアンドレス・イニエスタがいるヴィッセル神戸、J2の水戸ホーリーホック、そしてベルマーレの練習に参加し、ベルマーレからのオファーを勝ち取った。J1を代表する熱血漢で、最もハードな練習を課す曹監督のもとへ、人生の明確な設計図を描きながらすすんで飛び込んでいった。 「自分の性格的にも、甘い環境だとダメになるので。東京五輪の舞台に立とうと思えば、1年目から試合に出て結果を残すことが大事ですから」 入団時に明かした決意を具現化させた先に、最初で最後のチャンスとなる、U-20ワールドカップの舞台に立つチャンスをつかみ取った。代表ではDF登録だが、鈴木自身は「どこでもやれます」と、高校時代に担った2列目の攻撃的なポジションをも視野に入れる。 「どのポジションでも、ゴールを狙っていく。プロの世界では、チームが勝たなければ自分の評価にもつながらない。チームのためには自分を犠牲にしてでもハードワークする、というところも日々学んでいるところです」 右肩上がりの軌跡を描いてきた成長曲線が、初ゴールを触媒としてさらに加速されれば――久保や安部を欠いた陣容で、どのようにゴールを奪うのか、という問いに鈴木が照れくさそうに反応した。 「僕が取るかな、という感じです」 身長165cm、体重61kgのボディに無限の可能性を秘めたレフティーは、自分で選んだ波瀾万丈に富んだサッカー人生を力に変えながら、世界と対峙する瞬間を待ち焦がれている。 (文責・藤江直人/スポーツライター)