「救急車」はなぜ「消防署」が管理しているのですか? 病院が保有している方が「効率的」ではないでしょうか?
けがや病気などの大きさによっては、救急車を呼ばなければならないケースがあるかもしれません。救急車を利用すると病院に搬送されますが、管理自体は消防署が行っていることに疑問を抱く人もいるでしょう。 今回は救急車の管理を消防署が行っている理由とあわせて、維持にかかるコストをご紹介します。あわせて、救急行政の現状や抱える課題についてもまとめました。 ▼町内会費の支払いを拒否したら「今後ゴミを捨てるな」と言われた! 本当に従う必要はあるの?
救急車の管理を消防署が行っている理由
救急車の管理を消防署が行っている理由は、おもに運用のコストが関係していると考えられます。日本では救急サービスは公的サービスの1つとなっており、国籍や納税の有無に関係なく利用可能です。また、運用は税金で行われているため、原則利用料金はかからないとされています。 救急車の運用は1948年に警察組織から市町村(消防署)へ移されています。このタイミングで救急業務も現在の消防業務の組織に含まれており、消防署で救急車が管理されるようになったといわれています。 病院に救急車の運用を任せてしまった場合、維持費だけで相当なコストがかかると考えられます。救急車の維持コストが経営を圧迫してしまうと、病院の数が減少につながる原因となる可能性もあるでしょう。コスト面の問題および組織の仕組みが関係し、救急車の管理は消防署が行っているとされています。
救急車の維持にかかるコスト
救急車を維持する場合にかかるコストは、まず車両の維持費が考えられます。いつ救急要請が来てもすぐ対応できるよう、定期的なメンテナンスは欠かせないでしょう。 さらに車両だけではなく、救急車に搭載している各種機器のメンテナンスも実施しなければなりません。明確な費用は掲載されていないものの、この部分だけで高額な費用がかかる可能性があることは十分に想定できるでしょう。 搬送にかかる人件費についても忘れてはいけません。24時間常に救急隊員を待機させておかなければならないため、この部分も救急車の維持にかかるコストとなります。 これらの費用を総合した場合、1回の出動にかかる費用は4万5000円程度とされています。また、総務省消防庁の「令和5年版 消防白書」によると、救急出動件数は、722万9572件と記載されていました。単純計算にはなりますが、年間で約3253億円の費用がかかっていると想定できるでしょう。