ANAHD通期純利益を上方修正、ボーイング機受領は数カ月遅延
Maki Shiraki [東京 31日 ロイター] - ANAホールディングスの芝田浩二社長は31日の決算会見で、品質問題による業績不振や労働組合のストライキが続いている米航空機製造大手ボーイングの影響について、2025年度中に導入を予定している同社の機材受領が数カ月程度遅れるとの見通しを明らかにした。エンジン品質問題の補償金などで2025年3月期通期の純利益は上方修正した。 25年度中に受領予定のボーイング機は計11機で、芝田社長は「足元の状況をみると一定程度の遅れ、1年はかからなくても数ヶ月程度の遅れを見込んで事業計画を立てようと思う」と述べた。ボーイングとは担当部署が連絡を連日取り合っているほか、自らも「セールス担当トップや社長とこれまでに3回(やりとりしており)、来週以降にもう一度、電話かウェブで会議を予定している」といい、「状況確認を怠らないようにしたい」と語った。 <通期の売上高と純利益を上方修正> ANAHDは同日、25年3月期通期の連結純利益を上方修正し、前期比23.6%減の1200億円になる見通しと発表した。従来予想から100億円引き上げる。営業外収益が航空機やエンジン関連の補償により当初計画から100億円増加する。 エンジン関連の補償は米航空防衛大手RTX傘下のプラットアンドホイットニー社製の品質問題に起因し、航空機については守秘義務があるとして詳細は公表していないが、主に機材納入の遅延によるものという。 売上高も同8.0%増の2兆2200億円と従来予想から300億円引き上げ、過去最高を更新する見込み。堅調な旅客・貨物需要が続くほか、円安で外貨建て収入が増えるため。一方で営業費用も為替影響などでかさむことから、営業利益は従来通り1700億円で、IBESがまとめたアナリスト11人の予測平均値1879億円を下回っている。 ANAは羽田発の新規路線として12月にミラノ、来年1月にストックホルム、2月にイスタンブールの就航を計画しており、下期の国際線全体の旅客数は前年比10%増を見込む。中東・ウクライナ情勢の緊迫が続いているが、芝田社長は他の欧州都市と現状が変わらない限りそれほどのリスクは見ていないとし、「物理的にイスラエルなどに近いイスタンブール線でもすでに予約は好調だ」と述べた。 24年4━9月期(上期)の連結売上高は前年同期比9.7%増の1兆0995億円だった。好調な訪日旅客需要などが寄与し、上期として過去最高となった。