ラッパー#KTちゃんが語る、新曲で描いた20歳の現在地、D.Oからの言葉
20歳の誕生日となる10月6日にワンマンライブ「#KTCHAN birthday oneman live ’’PACHI PACHI 20’’」を開催し、2025年1月13日にメジャーデビューすることを発表した#KTちゃん。 【写真】「#KTCHAN birthday oneman live ’’PACHI PACHI 20’’」 新曲となる「imagination」は、これからの未来に対する希望や、自己の理想像への希求など、より強く#KTちゃんの内面や願望が色濃く描かれ、“ラッパーとしての存在性”をこれまで以上に強く表現する作品として完成した。#KTちゃんの名前をシーンだけではなく一般層にまで広げたMCバトルからの卒業宣言や、初のワンマンライブの開催、そしてメジャーデビューと、取り巻く環境が大きく変わっていく彼女に、現在の思いを訊いた。 ー先日は初のワンマンライブ、お疲れ様でした。 今までも主催ライブはやってきたんですが、最初から最後までステージに立つワンマンという形は、今回が初めてだったんですよね。やっとそこでアーティスト人生のスタートラインに立てた気がしました。 ー曲数も増えたから可能なことですね。 表現できる幅も、自分が表現したいことも実現できるようになっていってるという感覚がありますね。 ー#KTちゃんのラップ自体のバラエティも高まっていってると感じました。 「こういうチャレンジがしたい」と新しい作品を作るたびに模索しているし、その足跡が様々なカラーになったんじゃないかなって。 ーDOTAMAとの「BaNe BaNe」、呂布カルマとの「Promise」、#KTちゃんの地元の先輩ラッパーであるサイプレス上野&ASOBOiSMとの「TOTSUKA」など、ライブのゲスト陣も豪華でしたね。 20歳の誕生日でもあったので、自分のキャリアを見せるのと同時に、今までお世話になった大好きな方々、ラッパーの皆さんをお呼びして、一緒にお祝いしていただければなって。 ーそういった関係性が近いアーティストに加えて、今回はD.Oが登場したことにすごく驚きました。 でぃおっちですね。 ーすごいな(笑)。D.Oとは関係性があまり見えないのですが、今回のコラボの経緯は? 私が最初にラップした「高校生RAP選手権」(第17回。2022年7月2日放送)のナレーションをでぃおっちが務めてらっしゃって、それで本戦の時に裏ですれ違ったのが最初の出会いで。それからいろんなイベントに私が呼ばれるようになって、そこででぃおっちともご挨拶をする機会が増えて。 ー年齢や、キャリアやスタンスも全く違いますよね。ライブのMCでもご自身で「私はアンダーグラウンド出身ではない」と話していましたが、まさしくアンダーグラウンド出身なのがD.Oで。 確かに、私はアンダーグラウンドなところからラップを始めたわけじゃないけど、それでもHIPHOPという音楽が大好きで、ラップを愛してるっていう共通点で、でぃおっちと一緒にステージに立ちたいと思ったんですよね。 ーライブはD.Oの「悪党の詩」「スタンド・バイ・ミー」を一緒に歌うという構成でした。 あの2曲は私から一緒に歌いたいとお願いしたんですよね。「そう言ったらどんな反応をされるかな……」とちょっと緊張したんですけど、「極上だぜ!」ってすごくハッピーに快く受け入れてくださって。 ー「悪党の詩」の歌詞にある「少しでも片付いているだろうか」を「いるのかしら?」に変えるなど、“#KTちゃんとしての整合性”を込めてカバーしていたのも興味深かったです。 そのままカバーすることももちろん出来たけど、リスペクトするアーティストの曲を一緒に披露する以上、自分も魂を込めて、ソウルを込めてラップをしたかったし、だからこそ自分らしい言葉にしたくて。そうやって変えることを、でぃおっちも快くOKしてくれたんですよね。 ー「悪党の詩」に続いてのMCでは、テキーラで乾杯されました。 誰か止めに来てくれると思ったのに誰もこなくて!(笑)。完全にサプライズだったし、人生で初めてのテキーラでした。そのお陰か、より「スタンド・バイ・ミー」は感情移入して歌えたかも(笑)。 ーアルコールの効果で(笑)。「スタンド・バイ・ミー」では漢のパートをカバーしましたね。 シンプルにすごく好きな曲だったというのもあるんですけど、でぃおっち や かんかん(漢 a.k.a GAMI)が私ぐらいの時に抱えていた思いだったり、葛藤や青春は、どこかでちゃんと私とも繋がってると思ったんですよね。だから自分に重ねて共感する部分があったし、私ぐらいの年齢の人間が、未来に対して、前に進んでいく希望の光になるような一曲だから、私のファンや、同世代の女の子にも聴いて欲しくて。DMで「#KTちゃんの曲を聞いて勇気をもらいました」「バトルを見て一歩踏み出そうと思いました」と同世代からメッセージを貰うことも多いこともあって、そういう子達に届けたかったんです。 ーD.Oと#KTちゃんでは生まれ育った環境も時代、見える風景もかなり違うと思います。それでもこの曲の普遍的なメッセージは共有できるし、だからこそクラシックなんだなと、改めて感じました。 自分と向き合って、自分の信念を貫いて一歩ずつ進んでいくという思いは、環境は違ったとしても、内面的な部分として、人間誰しもあるものなのかなと思いましたね。 ーD.Oが「#KTちゃんのようなポップなヒップホップがあってもいい」と話していましたね。彼にそう言わせたのもすごいことで。 あの言葉で、ファンの方々にも「#KTちゃんを信じてついていこう」とより強く思って貰えた気がします。だからでぃおっちの言葉にはすごく感謝しているし、私もでぃおっちのその言葉を証明するために、どんどんラップの表現を高めないといけないという重さも感じました。 ー呂布カルマはMCの中で「同世代の友達いるのか?」って心配してましたが。 えーと……友達が少ないのは事実ですね(笑)。友達が多そう、明るいね、って言われる事が多いですけど、学校では本を読んで過ごしたり、マイペースなタイプだったし、友達が沢山いないと不安だと思うほうじゃないので。逆にいえば、そういうタイプでも自分の好きな事を貫けば、伝える側、表現する側になれることを証明したいし、興味はあるのに一歩踏み出せない、勇気出せない子たちの背中を押せたら良いなって。だから、あえて自分にはそういう部分があることは、隠さずに言っちゃおうと思ってますね。 ーバトルなどを通してのパブリックイメージとして、「物怖じしないキュートでポップな#KTちゃん」という部分を感じる人もいると思いますが。 「そういうキャラクターを演じてた」というよりは、やっぱり「ステージの上では」という部分ですね。何千人の前に立って、その中で自分の思いを伝えるっていうのは、並大抵なマインドではいられないんですよ。普段のマイペースな自分の心理状態では、とてもじゃないけど立てる場所じゃなくて。だから、覚悟を持って、全てをさらけ出さなきゃいけないと思ったし、それをバトルの中で形にすると、ああいった表現になっていたんだと思います。 ー「キャラ」というよりは、「度胸」があの形になったと。 フリースタイルラップをしてた時のあの強い気持ち、 何千人の前で全力でエネルギーをぶつけてたあの時の感情は、アーティスト活動の中でもすごく大事にしていますね。