医大生タレント2人が語る、医学部生活 さまざまな経験を糧に、医師を目指す
■「誰かのために」が原動力 「医学部受験生のころに使っていた教材を、ザザッと紹介します!」 ある日のTikTok動画は、こんな一言で始まった。画面から語りかける宇江美沙希さんは、広島大学医学部に在学中の“現役医大生タレント”。コメント欄には、医学部受験生からの質問やメッセージが、次々と届く。 2021年、「ミス・ジャパン」コンテストに出場し、自己アピールのためにSNSの投稿を始めた。同コンテストで準グランプリ獲得後も、受験生向けの情報、“医学生あるある”などの動画が人気を博し、現在のフォロワー数、チャンネル登録者数は合計37万人にも及ぶ。 「先日、インスタグラムのフォロワーさんから『みさきちゃんに憧れていた娘が、医学部に合格しました』といううれしいDMをいただきました。誰かのためになれば、と思って続けてきた動画投稿ですが、私自身も力をもらっています」 ■遅くまで勉強して青春を感じる毎日 自身が医師を目指したきっかけも、「憧れ」だった。 「かかりつけだった小児科の女の先生が、いつも子どもの目線に立って話を聞いてくださる素敵な方だったんです。先生のような人になりたいという思いが、医師を目指すことにつながりました」 現役合格を果たせず、浪人中に訪れたオープンキャンパスで「この大学の学生になれたら、楽しいに違いない」と直感したのが、広島大学だった。1日12時間の猛勉強を経て合格した医学部の勉強は「想像以上に大変だった」と言う。 「体の中の小さな骨や聞きなれない酵素の名前など覚えることがたくさんあるうえ、多い時は隔週でテストがあります。一つでも単位を落とせば留年確定なので、みんな必死。でも友達と一緒に夜遅くまで勉強するのも、学生時代ならではですよね。『私、青春してるなぁって』しみじみ感じたりします」 22年には、Jリーグ、サンフレッチェ広島の公式グッズプロデューサーに就任。地元の人たちの温かさに触れ、ますます好きになった広島を「もっと盛り上げたい」と語る。 「目標は、いろいろな経験をして、人として“厚み”のある医師になること。勉強もSNSでの情報発信もどちらも手を抜かず、精いっぱい取り組んでいきます」 宇江美沙希/1999 年生まれ。岡山県出身。「2021 ミス・ジャパン」コンテストで準グランプリ獲得。TikTok のフォロワー数は約16 万人。 (文/木下昌子) ※AERAムック『医学部に入る2025』より
木下昌子