村上春樹「関西弁ネイティブを隠すつもりはまったくないのですが…」上京して半世紀以上経って関西弁がヘタになったかも!?
作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「村上RADIO」(毎月最終日曜 19:00~19:55)。7月28日(日)の放送は「村上RADIO~マイ・フェイバリットソングズ&リスナーメッセージに答えます3~」をオンエア。 当番組では、いつもはリクエストやお便りを紹介していませんが、毎回放送後に村上DJ宛にリスナーからたくさんのメッセージが届きます。今回はその中から、いくつかのメッセージを村上DJが選び、音楽とともに紹介しました。 この記事では、中盤1曲とリスナーメッセージを紹介したパートをお届けします。
◆Karrin Allyson「Bye Bye Country Boy」
カリン・アリソンの歌で聴いてください、「バイバイ・カントリーボーイ」。ブロッサム・ディアリーの作った曲ですね。 空色の猫さん、埼玉県35歳、女性の方からのお便りです。 「春樹さんこんばんは。いつも楽しく拝聴しています。最近、ずっと関東人だと思っていた知り合いが実は関西人で、関西弁ネイティブなのを隠して生きていたことを知りました。関西ご出身の春樹さんは、関東弁を身に付けるにあたって苦労したことはありますか? つい関西弁が出てしまうということってあるんでしょうか? 知りたいです」 僕は18歳までずっと関西弁のみを使って暮らしていました。で、大学に入ったときに東京に出てきたんですが、わりにすらっとこちらの言葉に染まってしまいました。空気に馴染んだというか。関西弁ネイティブなのを隠すというようなつもりはまったくないんですが、結婚した相手も明治以前から都心に住んでいる一族出身の人だったし、東京の言葉をしゃべるのが、僕にとってはごく自然なことになったんです。 でもこういう放送の仕事をしていると、ときおりイントネーションの違いを指摘されます。「村上さん、そこアクセントが違ってます」と言われて、言い直したりしています。もう半世紀以上こっちで暮らしているんだけど、イントネーションの癖ってなかなか抜けません。関西に帰って、昔の知り合いなんかに会うと、すっと自然に関西弁に戻りますが、そうじゃないと、なかなかすんなり言葉のスイッチが切り替えられなくなってきました。僕の関西弁、少し下手になったかもね。 (TOKYO FM「村上RADIO~マイ・フェイバリットソングズ&リスナーメッセージに答えます3~」2024年7月28日(日)放送より)