“豆ガシャ本”がカプセルトイの新たなジャンル確立 ミニチュアサイズの精巧な本が今後の書籍市場にも影響を及ぼす?
古くから人々に親しまれているガシャポン(R)に、“豆サイズの本”=豆ガシャ本がジャンルとして確立されつつある。「地球の歩き方」や「JR時刻表」、人気ライトノベルをミニチュア化したものまで登場し、ミニチュアファンの間で話題を集めている。さらに児童書で人気の『5分後シリーズ』、『週刊少年サンデーコラボレーション』、『サッカーダイジェスト Jリーグ選手名鑑』など、ジャンルも多岐にわたり展開。ミニチュア本とはいえ、小さいだけではなく中身も再現されている点も特徴の同シリーズ誕生秘話や今後の展望などをバンダイに聞いた。 【画像】「ランチパック」そっくり!公式ムック本に付録ポーチもミニフィギュアで再現
■伸長するカプセルトイ市場に新たな刺客、細部にまでこだわる全頁フルカラーの“豆サイズ本”
カプセルトイは1965年にアメリカから日本に輸入され、1970~1980年代にかけて第一次ブームが起こった。2020年頃から再びブームとなり、多くのメーカーが商品開発を手掛けている。100台以上のカプセルトイマシンを並べた専門店も続々と登場し、子どもだけでなく大人のファンも増加。一般社団法人日本カプセルトイ協会の発表によると、製造元出荷ベースでの市場規模は2023年度で約1,150億円。前年度から159.7%アップという驚異的な伸びを見せている。 1977年からカプセルトイ市場に参入していたバンダイ。もともとなぞなぞなどの豆サイズの本を出していたというが、2020年代に入って『豆ガシャ本』の開発を手掛けたという。 「全頁別デザイン&カバーになるカプセル同梱のミニブック、もしくは全頁フルカラーなど細部にこだわった仕様を追求し、『豆ガシャ本』シリーズを立ち上げました」(バンダイ ベンダー事業部・野添よう子さん/以下同) 開発担当である野添さんは「ずっとやりたいと思っていた書籍のミニチュアを手掛けることが決まり、シリーズ第1弾として『豆ガシャ本 5分後に意外な結末』を発売しました」と当時を振り返る。モチーフとなった『5分後に意外な結末』は、2023年12月現在でシリーズ合わせて既刊30巻、シリーズ発行部数500万部を突破(2023年12月時点)しており、児童書の人気ランキングで常に上位に位置する、小中学生に人気のシリーズ本だ。 『豆ガシャ本』シリーズは主に20~30代の女性をターゲットとしているそうだが、第1弾商品が児童文学だった理由はなぜだろう。 「当時読んでいた世代の方が現在20代になっていることを見越して、大人の女性をターゲットに見据えました。またお子さんと一緒に読んでいるであろう母親世代もターゲットにしました」 『豆ガシャ本』が発売されるや、SNSでは「この作りこみすごい」「頑張れば実は読めるのすごい」など反響は大きかったという。初回でこれだけの反響があるのであれば、この後も出したい書籍の企画はたくさんあったため、シリーズ展開を決めたそうだ。