“豆ガシャ本”がカプセルトイの新たなジャンル確立 ミニチュアサイズの精巧な本が今後の書籍市場にも影響を及ぼす?
■印刷技術の限界に挑戦、実書籍の完全ミニチュア化にこだわり
豆サイズのミニチュア本と言えば、それまでおもちゃ感が否めなかったし、持つ側もクオリティや実用性を求めることはなかっただろう。しかし、この『豆ガシャ本』シリーズは、実際の書籍と同様に内容も再現されているのが特徴で、実書籍とほぼ同じクオリティというのが大きなこだわりとなっている。再現性の高さを実現できたのは、やはり近年の印刷技術の向上が大きかった。 「開発担当として紙を使った『色紙』や『クリアファイル』といった国内印刷物も多数担当してきましたが、印刷技術の向上もあり、印刷技術の限界に挑戦してみたいと思ったことが『豆ガシャ本』のきっかけです。フルカラーで色が多く重なっているものは文字がつぶれないか、漫画はトーンがきれいに出ているかなど、実書籍と同じように見えるかにこだわりました。カバーがあるものは仕様を詰め、商品に同梱するミニブックを切ったらカバーになる仕様にしたりと、実書籍を徹底的にミニチュア化することにこだわっています」 書籍をそのまま完全ミニチュア化することに全精力を注いでいるという同シリーズ。「実用性があるに越したことないですが、クオリティにこだわり、手に入れてくださったお客様が思わず誰かに共有したくなるような商品でありたいと思っております」と野添さんは言う。実際にSNSとの相性は良く、若年層やミニチュアコレクターが複数個入手し、並べて撮った写真やペラペラめくった動画を投稿する様子が散見される。
■これまでのノウハウを生かし、常に新しいもので“驚き”を提供
昨今、カプセルトイでは食品、文房具、家具、コスメなどのミニチュア商材が数多く展開され、コレクターからも注目を集めている。『豆ガシャ本』シリーズも、本という括りの中で、ライトノベルや時刻表など熱狂的なファンを抱えるジャンルを狙った商材が多い。これらはどのような経緯で商品化しているのだろうか。 「弊社の開発担当自らが好きな作品をピックアップし、その中から『商品化したら面白いだろう』と思うものについて出版社にアプローチしています。直近では書籍だけでなくムック本もミニチュア化した『豆ガシャ本 みんな大好き! ヤマザキ ランチパックBOOK』を展開し、ご好評いただきました。それ以外にも『教養366シリーズ』や『TOEIC(R)公式教材』『マーガレット&別冊マーガレット60周年記念』『週刊少年サンデーコラボレーション』など幅広いファンに向けて展開しています」 昨年発売された『~ランチパックBOOK』は、もともと宝島社から発売していたムック本をミニチュア化したユニークな商品。本の内容だけでなく付録のポーチも再現され、多くのファンから注目を集めた。ミニフィギュア+豆ガシャ本といった複数商品を落とし込んだ、いわば同社の技術力を一つにしたような商品だと言える。 「『豆ガシャ本シリーズ』のスタート以降、ありがたいことに多種多様なテーマの書籍をご許諾いただき、商品化させていただきました。その中で新たな感動を提供するために、人気のムック本に目を付け、宝島社さまに相談し、山崎製パンさまにも力添えをいただき、商品化となりました。“ミニフィギュア+豆ガシャ本”といった複数商品を1つに落とし込むことは、弊社ならでは。全頁別デザインを印刷しており、実書籍の完全ミニチュア化にこだわりました」