今季も成長を止めない富永啓生…リーダーの自覚も芽生え、夢のNBA入りを目指す
NCAAトーナメント出場、そしてNBA入りの実現に向けて
富永の成長は、実は選手としてのスキルだけに留まらない。今季の彼はハドルの中で誰よりもチームメートに話しかけているのだ。リーダーとしての役割を意識しているのかと尋ねると、「今のチームで3年間プレーしている選手が少なくて、特にスターターの中だと僕1人なので、自分がチームをまとめていかないといけないと、確かに自然と意識していますね」と明かした。 リーダーとしての自覚に芽生えた富永が、パデュー大を倒した歴史的勝利に浮かれてアウェーで2連敗したことを自戒し、勝ち負けに一喜一憂せず、目の前の試合に集中することの大切さを何度も繰り返し語ったことは興味深いものがある。ネブラスカ大がNCAAトーナメントに進むためには、まだまだここからが勝負なのだ。 「もちろん勝つことは嬉しいし、負けることは悔しいですけど、それを引きずってたら良い方向にはいかないと思うんですよ。1日1日を大切にして、日頃から練習を重ねて自信をつけていくしかないですね」富永は語気を強めた。 「とにかく、自分たちの今の目標であるNCAAトーナメント出場、そして、そこで活躍できるように頑張ります」 ネブラスカ大のNCAAトーナメント進出は決して夢ではない。そこで活躍できれば、富永のNBAへの道が一気に開ける可能性もある。 ここまでを振り返り、昨年6月にNBAドラフトのアーリーエントリーを取り下げてネブラスカ大に戻る決断をしたことに悔いはないかと尋ねると、富永はこう即答した。 「ここに戻ったことに全く悔いはないし、間違いなく正解だったと思います」 彼の表情に一縷の迷いもなかったのは、NBAの夢を叶えるために自分のスキルを最も向上させることができると信じた場所で、確実に手応えを感じているからに違いない。 文=YOKO B
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