佐伯市大入島の夜間海上タクシー「荒吉丸」営業終了 島民でつくる協議会が定期便として引き継ぎへ 当面の運営費は寄付金活用
大分県佐伯市の葛港と大入島の間を夜間に運航していた海上タクシー「荒吉丸」(清家佐一船長)が、30日で営業を終了する。残業後の会社員や部活帰りの子どもたちの足を守ろうと、年明け5日からは大入島地域コミュニティ協議会(増永孝光会長)が定期便として運航を引き継ぐ。 同航路は2事業者による定期便があり、いずれも最終便は午後6時台。それ以降は荒吉丸が島民らの移動を支えてきた。清家船長(55)によると、年中無休で30年以上にわたって営業を続けてきたが、自身の健康問題や燃油の高騰から撤退を決めたという。 利用者は1日10人ほど。主に残業を終えた会社員や中高の部活生らが乗船する。自宅に帰る手段がなくなると、人口減少の加速や移住受け入れへの障壁となる可能性があるため、島民でつくる協議会が夜間便を運航することにした。 荒吉丸を含む計2隻を譲り受け、運航に必要な船舶免許を持つ協議会メンバーが4人体制で夜間に3便、定期便を出す。乗船料は海上タクシーと変わらず一般500円、小中高生300円。 当面の運営費として、島民や島出身者から募った寄付金を活用する。民間事業のため市の直接的な関与はないものの、何らかの支援が受けられるよう交渉している。 増永会長は「メンバーの負担は小さくないが、島の将来を考えると夜間の船は必要。島民に喜ばれるよう頑張りたい」と話した。