<The追跡>22の花火大会が中止 警備費などの高騰で“夏祭り危機”対策は?【WBS】
いま全国で祭りのメインイベントの「花火大会」が中止や縮小に追い込まれていて、22の花火大会が中止になったという調査もあります。人件費の高騰など運営コストの上昇が原因の一つとみられています。現場で何が起きているのか、追跡取材しました。 25日まで開催されていた日本三大祭りの一つとされる大阪天神祭。疫病退散を祈って、平安時代に始まったとされ、1000年以上の歴史を誇ります。さらに、今年は商店会が主催する名物ギャル神輿が4年ぶりに復活。夜にはおよそ3000発の奉納花火が夜空を彩りました。 天神祭には2日間で延べ127万人が参加しましたが、運営側は大きな課題を抱えていました。祭りを取り仕切る大阪天満宮の三宅隆さんは次のように話します。 「警備費自体が値上がりしている。天神祭全体の予算のうち、生々しい数字になるがかなりのウエートを警備費が占めている。半分近い」(三宅さん) 実際に今年の天神祭では、主催者が雇った警備員だけで約1000人。さらに来年には不安もあります。 「来年万博でまた警備費が上がると言われている。恐ろしい。警備費を削って事故が起きたらえらいことになる。値切るわけにもいかない」(三宅さん)
こうした問題は、日本中で顕在化しています。全国で22の花火大会が中止されたほか、縮小された大会もありました。主な理由が、警備費を含む人件費や準備にかかる様々な費用の高騰だとみられています。 「有効求人倍率で警備に従事する人の募集は正社員で6.6倍。高い給料を払ってでも警備の人を集めないといけない」(「帝国データバンク」情報統括部の藤井俊部長) これに対し、人件費の高騰に対応する動きも活発です。帝国データバンクの調査では、今年国内で開催される主要な106の花火大会のうち、およそ7割にあたる79大会が観覧エリアに有料席を導入しました。 天神祭も今年初めて特別な有料席を用意しました。神事を間近で見られる観覧席で大阪天満宮の元宮司が解説し、英語通訳もつきます。祭りの見せ場も、この席の目の前で披露されます。実はこれ、大阪天満宮とJTBが企画した40万円の特別ツアーの一部です。 このツアーに組み込まれたもう一つの目玉が船上での花火の観覧です。もともと神事をする船ですが、2艘を一般客が利用できる観光用に切り替えました。さらに今年からのぼりを立てました。企業名を入れ、協賛金をもらうためです。 「祭りをするにもコストがかかる時代になってきた?」(大江麻理子キャスター) 「楽しんでこそ祭りだが、事故が起きると楽しみがマイナスになる。無事に行われるのが、私たちの願い」(三宅さん)