パリ五輪への「準備、調整」は万全か?ネイションズリーグから見えた男子日本の現在地【男子バレー】
バレーボールの「ネーションズリーグ2024」(VNL)で過去最高成績となる準優勝に輝いた男子日本代表。すでに6月24日にはパリ五輪の登録12名およびリザーブ1名の参加内定選手を発表しており、いよいよ集大成の舞台へ臨む。 【動画】バレー男子日本代表がフランスと激突!銀メダルを獲得 パリ五輪を前にした最後の国際大会と位置づけられたVNLが閉幕し、日本は銀メダルを手にした。今大会の戦いを振り返ると、すでに五輪の出場権を獲得していたとあって、日本は予選ラウンド第1週で石川祐希と髙橋藍を登録せず温存。2人が合流した第2週からチームづくりは本腰を入れ、そこではまだまだ連携面などの成熟度合いでは足りなさを抱えながらも、五輪に出場するドイツやスロベニアに競り勝ってみせた。 そうして続く第3週では、対戦相手もこちら側も主力を温存させるなど手の内を隠しつつ、日本は勝ち越す。最終的に予選ラウンドは9勝3敗の4位(16チ―ム中)の好成績を残し、同時にFIVBランキングも過去最高となる2位まで押し上げることに成功した。 その後、VNLのファイナルラウンドでは初戦の準々決勝でカナダと対戦。予選ラウンドではフルセットの末に敗れていたが、この試合では石川が両チームを通して最多26得点の圧倒的なパフォーマンスでストレート勝ちを収める。続く準決勝では、予選ラウンドの12試合うち黒星は日本戦のみで堂々の首位通過を果たしたスロベニアを再び退け、国際大会では1977年のワールドカップ以来となる、47年ぶりの銀メダル以上を確定させた。 最終的にフランスとの決勝では1セットを奪うものの、最後は力負け。優勝こそならなかったが、石川がベストアウトサイドヒッター、山本智大がベストリベロに輝いた。 4月に代表シーズンが始まってからの戦いぶりは、日本が世界の覇権争いに加わるだけの力があることを十分に示している。 一方で、強度の高い試合が続いただけに、やはり懸念材料となるのはコンディション面だ。フィリップ・ブラン監督も今年5月7日の代表始動会見でスケジュールについて触れた際、「予選ラウンド第3週のマニラ(フィリピン)からファイナルラウンドが実施されるポーランドに移動しするため、疲労が蓄積されます。そうして大会後は短い期間で、再びポーランドでのエキシビションマッチを経て、パリ五輪を迎えることになります」と語っていた。 チーム全体は好調で、選手たち個々も高いパフォーマンスを発揮できている。それだけに不慮の事態は避けたいところ。実際、髙橋藍はVNLの予選ラウンド第3週途中から登録を外れた。2023/24クラブシーズンで負った足首の怪我の後遺症に対する検査を行ったとのことで、最終的にファイナルラウンドの登録メンバーにその名前はなかった。髙橋自身はVNLを通して、サーブレシーブの安定感はもちろんのこと、攻撃面でも高い決定力を見せていた。チームとしては“本番”であるパリ五輪に向けて慎重を期する意図が、そこには見て取れる。 もちろん、この先の練習やプラクティスマッチに臨むなかで、そうした不安はゼロにはならない。それでも、VNL予選ラウンド第1週からアウトサイドヒッターの大塚達宣やオポジットの宮浦健人らが存分に力を発揮しているように、“誰が出ても戦える”なおかつ全員がコート上で“日本の戦い方”を繰り出せるのが、今の強みである。従来から定評あったレシーブ力に加え、効果的なサーブ、高さでは敵わずとも決定機を与えないブロック、確実に点数を取るまでカバーやリバウンドに入りボールをつなぐ連携。それらは今、最高潮にある。 そのうえでブラン監督はパリ五輪に向けた最終調整のキーワードに「コンデイション」を挙げた。 「選手全員がいいフィジカルコンディションで臨めることが最も大切です。期間は短いですが、いい状態で五輪本番を迎えること、それが最終的なゴールになります」 花の都で綴られる栄光への軌跡。そのエンディングまで、残り1か月をきった。 [文:坂口功将]
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