パントマイムアーティスト「が~まるちょば」のHIRO―PON、全国ツアーに「パントマイムの面白さを体感して」
パントマイムアーティスト「が~まるちょば」のHIRO―PONが、全国ツアー「Everybody hates MIME」を13日の東京・よみうり大手町ホールでの公演からスタートさせる。このほどスポーツ報知の取材に「とにかく見に来て。本当のパントマイムの面白さを体感してほしい」と意気込みを語った。 普段、全く言語を用いないサイレントコメディーを披露している“反動”からか、多くの言葉があふれ出た。「みんなパントマイムを憎んでいる」という意味のツアータイトルは「正直、パントマイムの舞台を見に来たことがある人は少ない。興味を持たないから、面白くないから来ない」との思いで付けたが、そこには自身の反省もある。 「生業(なりわい)としている自分にも責任がある。まずは、公演に足を運んでほしい。絶対に後悔はさせない。来れば分かる」。パントマイムだけを30年以上も極めてきた職人だからこそ言葉にできる熱い思いを語った。 20代の頃、ガソリンスタンドのバイト先で見つけたカタログの「パントマイム」の文字にひかれ、直感で「これだ!」と思い立ち、未知の世界に飛び込んだ。「今でもパントマイムをやってる方って限りなく少ない。でも、何でやらないのかも分かる。食っていけるかどうか分からないからね。今でこそ思うけど、当時の自分も本当によくやる気になったなと。でも、25歳までに自分の人生というか、自分の進路を決めようと、この道に進んだ」 HIRO―PONも当時は「世間一般の人が持ってるパントマイムの認識ぐらいしか持ってなかった」という。「僕もどこで習うか分かんなくて、カルチャーセンターへ行ったり。都内にも2つほど研究所があったかな」。転機は1999年。ケッチ!と共にサイレントコメディーデュオ「が~まるちょば」を結成。本格的に始動した。言葉の壁を超えて楽しめるパントマイムで、世界各国を回った。 2004年に世界最大の芸術祭「エディンバラ・フェスティバル・フリンジ」でダブルアクトアワードを受賞するなど世界的に評価された。19年3月末でケッチ!が脱退してソロとなったが、へこたれることは全くなかったという。 「(デュオとソロの)どっちが悪いっていうのは意外となくて、別物。1人の良さっていうのは、全部自分のやりたいことができるってこと。一方で、1人だと自分が動いているのを映像で撮って、それを見てダメ出しをするけど、2人なら作業時間が短縮するということはある。それに、表現方法として人間って2人いるとドラマになる。でも、メリットやデメリットは、その時その時の考え方かな」 ソロとして大きな注目を浴びたのは2021年の東京五輪の開会式にクリエイターとして参加したこと。話題となったピクトグラムパフォーマンスを手がけた。大役を果たしたが、HIRO―PONにとって現在も道半ばだ。「課題は山積していて、ゴールが見えない。もっとパントマイムの面白さを伝えたい」と覚悟を口にした。(増田 寛)
報知新聞社