「ドルチェ&ガッバーナ」の金髪のマドンナについて語り合う ミラノに歌舞伎なブランド登場? 2025年春夏ミラノ日記Vol.5
一方、バッグやシューズなどのレザーグッズは確実に進化。特にガラス加工を施したツヤのあるレザーに、「バリー」ならではのストライプを組み合わせた半月型のショルダーバッグなどは、かなり美しく、高級感のある佇まいでした。
そして「ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)で再び木村さんと合流でした。どんなショーでしたか?
マドンナへのオマージュは
素晴らしい?誰かを傷つけた?
木村:「ドルチェ&ガッバーナ」のショー前日、マドンナが来場するとの情報が飛び込んできました。ミラノのファッション業界がざわついてましたね(笑)。と同時にブランドからは、「マドンナが来場しても、決して席を立たないように」とお達し。とはいえマドンナが来場すると、一部のゲストは堂々と彼女をパパラッチしていました。
もちろん、ショーはマドンナへのオマージュ全開です。マドンナヘアのかつらをかぶったモデルたちが、会場に設えた螺旋階段をセクシーに腰をくねらせ降りてくる演出です。ウエアはスリップドレスにもジャケットにも、全部コーンブラ。トレンチコートからもコーンブラがのぞいていました。ランジェリードレスにガーターベルト、そしてコーンブラ。「Seductive(誘惑的)」と、ブランドのオリジンを学びました。
で車に戻ったら、要さんが憤慨してるのにはっとさせられたんです。「黒人にマドンナのかつら被せるって何」って。数々のファッションショーを見て社会へのメッセージを受け取ってきたのにもかかわらず、この時、私は「ドルチェ&ガッバーナ」の煌びやかな世界に陶酔し、ファッションの社会性をすっかり忘れてエンターテイメントとして楽しんでいたんです。黒人のジャーナリストたちも、興奮気味に「素晴らしかった」と言いながらバックステージに入っていく姿も見かけました。それでも華やか、楽しい!だけじゃダメで、クリティカルに見る視点を常に忘れちゃいけないんだと心に誓ったショーでした。