会長選挙実施でルビアレス時代に終止符も、時代が変わる可能性は低い
文 木村浩嗣 4月6日にコパ・デルレイの決勝が行われ、アスレティック・ビルバオがマジョルカを下して(1-1、PK戦4-2)40年ぶりの優勝を飾ったのだが、その晴れ舞台にスペインサッカー連盟会長の姿はなかった。 ご存じの通り、ルイス・ルビアレス前会長は強制キス事件で昨年9月に辞任、さらに汚職事件で4月3日に逮捕されたばかり。前会長の辞任で就任した臨時会長のペドロ・ローチャは、会長選挙出馬のために4月4日に辞任したばかり。よって、本来なら臨時の臨時の会長がVIP席の真ん中でフェリペ国王(コパ・デルレイは「国王杯」の意)に同伴しなければいけないのだが、あまりに汚れた連盟の代表が隣では国王のイメージまで汚れる、ということで、女性副首相が座っていた。さすがに表彰式では臨時の臨時の会長がトロフィーとメダルを渡していたが……。
立候補者は前会長の息のかかった人物
そう、会長選挙が行われる。 新会長就任は正式にルビアレスの時代に終止符を打つことになるのだが、本当に性加害(容疑)と汚職(容疑)の時代が終わるのかは疑問だ。というのも、最有力候補のペドロ・ローチャはルビアレスが指名した人物で、彼自身に汚職の容疑はかかっていないものの、彼が率いていた財政部門は、今回の汚職事件の主な舞台となっているからだ。 連盟の自浄能力は限られている。 新会長を選ぶ評議員たちは前会長の支持者たちで、「私は辞任しない!」と叫んだ前会長をスタンディングオベーションで讃えた人たちと同じである。なので、今回も前会長の息がかかったローチャを支持すると見られている。 いや、選挙自体が成立しないかもしれない。なぜなら、立候補には21人の評議員の支持が必要なのだが、ローチャ以外の立候補者はこれを集めるのさえ容易ではないからだ。選挙は5月6日に予定されているが、立候補者が1人であれば信任投票だけが行われ、4月末にもローチャの新会長就任が決まる。