言われた仕事をやるだけの〈指示待ち社員〉の量産を防ぐ最善策!…やりがいのある仕事より、新人社員の〈やる気〉を引き出す「意外とシンプルなこと」
キャリアの節目にあるビジネスマンにとって、後から入社した社員を指導する際、リーダーシップをしっかり発揮し、後輩社員を育成できるかどうかは、その後のキャリアに大きく影響します。しかし、あくまで、「上司」と「部下」ではなく、「先輩」と「後輩」という立場上、なかなか指導が難しい場面も少なくありません。JMAM「基本能力研究会」の著書『新人指導の教科書』(日本能率協会マネジメントセンター)より、後輩社員の育成に欠かせない重要なポイントについて、みていきましょう。 都道府県「大学(学部)進学率」ランキング…〈令和5年度 学校基本調査〉
指導の基本は「信頼関係」
みなさんに任される新人指導の基本は、OJT(OntheJobTraining=実務をつうじての職務訓練)です。自分の仕事を行いながら、新人に仕事の基本とともに実務を教えていくことになります。 ここで忘れてはならないことは、上司の指導とは違って、先輩という立場で行う新人指導には権限や強制力がないということです。 上司にとっては、部下の指導が仕事そのものです。部下を育成し、次代の組織を担う人材を育て、部門の業務を円滑に遂行できるようにすることは、管理者の責務です。 これに対し、先輩として新人を指導する場合は、権限によって指導するわけではなく、新人を拘束する強制力も与えられてはいません。新人が管理者から与えられた仕事を円滑に遂行できるよう、教えるべきことをきちんと教えるという「行動責任」を果たすことは期待されていますが、勝手に仕事を与えることは認められていません。みなさんにとって、新人は“部下”ではなく、あくまでも“後輩”であることを理解しておきましょう。 権限や強制力によらずに指導するためには、教える側と教わる側が、「なぜ、この指導が大切なのか」を十分に共有しておくことが大切です。その前提となるのが、信頼関係です。 新人が仕事をおぼえて遂行するために、みなさんが適切な指示・アドバイスを出せなかった場合を考えてみてください。「あの先輩の言うことはあてにならない」「あの先輩の指示に従っても、うまくいかない」と新人が考えるようになり、その後、あなたの指導を軽んじるようになるでしょう。仕事を進めるうえでは、信頼関係がすべてを左右するといえます。頼りになる先輩として認められることが、新人指導の第一歩なのです。